海外に住んだまま日本の不動産を買う:離れたままできる手続き

海外に住んだまま日本の不動産を買う:離れたままできる手続き
ガイド

2026年10月30日時点で、日本の不動産を買う手続きのいくつかは、海外に住んだままで進められます。重要事項説明はオンラインで受けられ[1]、重要事項説明書や契約の書面は、承諾すれば電子で受け取れます[2]。登記に使う住所の証明[3]や登記の国内連絡先[4]は住んでいる国から準備し、非居住者の買主は取得後20日以内に財務大臣へ報告書を出す必要があります[5]。送金・決済・本人確認・署名をどう進めるか、来日が要る場面があるかは、最初に仲介会社と司法書士に聞いてください。

この記事は、億単位の予算でセカンドハウスや家族の住まいを海外から買う人に向けたものです。手続きごとに「確かめること」と、仲介会社・司法書士に「聞くこと」をまとめ、国の資料を脚注に付けました。ご自身の場合にどう当てはまるかは、取引を担当する専門家に確かめてください。

先に結論:海外からできること

手続き海外から確かめること聞くこと国の資料
重要事項説明オンラインで受けられる説明の前に書面が届いているか。宅地建物取引士証が画面で読めるか「説明はオンラインか。書面はいつ届くか」要件の下で行ったオンラインの説明は、対面と同様に扱う[1]
重要事項説明書・契約の書面承諾すれば電子で受け取れる承諾を求められたか「電子で渡すか。紙にしたいときは」電子で渡すには承諾が要る[2]
登記に使う住所の証明(海外に住む外国人)住んでいる国で用意する司法書士がどの書面を求めるか「政府の住所の証明書か、公証人の宣誓供述書と旅券の写しか」海外に住む外国人向けに両方の方法が示されている[3]
登記の国内連絡先申請の前に決める誰が引き受けるか、いない旨で出すか「連絡先を引き受けられるか。いつまでか」連絡先の氏名・住所等と、連絡先となる者の承諾・印鑑証明書。いなければその旨[4]
財務大臣への報告(非居住者)日本の代理人が出せる誰が出すか、期限はいつか「誰が出すか。控えはもらえるか」取得後20日以内。居住者の代理人(不動産仲介業者等)も出せる[5]
送金と決済聞く着金を誰がいつ確かめるか「決済の何日前までに着金が要るか」この記事の出典の範囲外
本人確認と署名聞くテレビ電話で足りるか「本人確認や署名に来日が要るか」この記事の出典の範囲外
住所が変わったとき2026年4月1日から所有者の義務海外から誰に頼むか「海外から変更の登記をどう頼めるか」変更日から2年以内に申請する[6]

日本に行かずに不動産を買えるか

国の資料では決まらない次の点で変わります。来日の回数を考える目安にしてください。

場合来日の目安聞くこと
仲介会社と司法書士が、オンラインの本人確認・電子の書面・原本の郵送で対応できる書類の手続きは海外から終えられることがある「対面が要る手続きはあるか。どれか」
物件や周りを見ていない内見のために来るか、第三者の調査を頼む「動画での内見と調査の報告書を手配できるか」
本人確認・署名・決済・鍵の受け渡しのどれかで対面を求められるその日に合わせて来日する「どの日か。委任状で代えられるか」

重要事項説明をオンラインで受ける

確かめること: 説明の前に書面が届いているか、宅地建物取引士証が画面で読めるか。聞くこと: 翻訳をしながら読めるよう、数日前に書面を送ってもらえるか。

説明をするのは宅地建物取引士です[7]。国土交通省は、不動産の売買取引のオンラインによる重要事項説明(IT重説)の本格運用を2021年3月30日に始め[8]、一定の要件の下で行ったオンラインの説明は対面の説明と同様に扱われます[1]。国土交通省のページが挙げる要件には、重要事項説明書と添付書類を前もって送っておくこと、宅地建物取引士が宅地建物取引士証を示し、画面上で見えたことを確かめることがあります[7]。書面が手元に無いまま説明が始まりそうなら、日を改めるよう頼みましょう。合わせて取り寄せたい書類はマンションを買う前に取り寄せる書類にまとめています。

電子の書面は、承諾したときだけ

確かめること: 電子で受け取ることへの承諾を求められたか。聞くこと: 紙にしたいとき、原本をどう送ってもらえるか。

2022年5月18日から重要事項説明書などの書面を電磁的方法で渡せるようになり、そのためには仲介会社が相手の意向を確かめて承諾を得る必要があります[2]。電子で受け取れば、国をまたぐ郵送の日数を省けます。紙を選ぶときや、署名して送り返す書類があるときは、郵送の日数を日程に入れておきます。

登記に使う住所の証明

確かめること: 何かを予約する前に、司法書士がどの書面を求めるか。聞くこと: 宣誓供述書にするなら、その文言。

法務省は、2024年4月1日以後の申請について、海外に住む外国人や外国法人が所有者として登記されるときの住所の証明を示しています[3]。個人の場合、本国または居住国の政府が作った住所を証明する書面のほか、氏名と住所を宣誓した書面に本国または居住国の公証人が認証したもの(宣誓供述書)を、その書面を作った日か申請の受付の日に有効な旅券の写しと組み合わせる方法があります[3]。外国法人の扱いは同じページに別にあるので[3]、会社で買うならどの書類が要るかを聞いてください。

登記の国内連絡先

確かめること: 誰が連絡先を引き受けるか、いない旨で出すか。聞くこと: 仲介会社か司法書士に、引き受けられるか、いつまでか、やめたらどうなるか。

2024年4月1日以降、海外居住者(個人・法人)を所有者とする登記の申請では、日本国内の連絡先となる者の氏名・住所等を申請情報に入れるか、いない旨を出します[4]。連絡先は個人でも法人でもよく、法務省は不動産関連業者・司法書士等を想定しています[4]。申請には連絡先となる者の承諾と印鑑証明書(または電子署名と電子証明書)も要るので[4]、引き受ける人にも準備があります。

取得後の財務大臣への報告

確かめること: 誰が、いつまでに出すか。聞くこと: 出した報告の控えをもらえるか。

外為法の報告の制度では、非居住者が日本の不動産やそれに関する権利(抵当権・賃借権等)を取得したとき、取得後20日以内に日本銀行を経由して財務大臣へ報告書を出す必要があります[5]。報告書は、非居住者本人のほか、居住者である代理人(不動産仲介業者等)も出せます[5]。

この制度は2026年に変わりました。財務省は2026年2月20日に省令の改正を公布し、居住用・非営利目的の業務用・事務所用に使うための日本の不動産の取得と、他の非居住者からの取得を事後報告の対象に加えました。施行は2026年4月1日です[9]。それより前に書かれた案内を読んだときは、報告を出す人に今の扱いを確かめてください。

買った後に住所が変わったら

確かめること: 海外から変更の登記を誰に頼むか。聞くこと: 決済のときに司法書士に。

2026年4月1日から、不動産の所有者は氏名・名称や住所が変わったら、変更日から2年以内に変更の登記を申請する義務があります(不動産登記法第76条の5)[6]。施行日より前の変更で登記していないものも対象で、2028年3月31日までに申請が要ります[6]。国をまたいで住まいを移すかもしれない人や、日本へ移る前に家族の住まいを買う人は、買った後にこの義務が始まることを覚えておきましょう。

その場所に別の届出が要らないか

確かめること: 土地が指定された区域に入っていないか。聞くこと: 申込みの前に仲介会社に。海沿いや島の物件では特に。

重要土地等調査法では、防衛関係施設等の重要施設の周囲おおむね1,000メートルの区域内や国境離島等の区域内で区域が指定されます[10]。特別注視区域内にある土地等の所有権等を移したり設定したりする契約では、契約の当事者に届出が求められる場合があります[10]。

誰が、いつ、何をするか

いつ買主仲介会社司法書士聞くこと
申込みの前来日するかを決める指定された区域かを確かめる[10]「対面が要る手続きはあるか」
契約の前電子の書面に承諾するか決める[2]重要事項説明書を前もって送る[7]「書面はいつ届くか」
決済の前住所の証明を自国で用意する[3]。資金を手配する住所の証明の書面を伝える。国内連絡先を手配する[4]「資金と書類はいつまでに届けばよいか」
決済の後報告の控えを受け取る頼んだ場合は報告を出す[5]今後の変更の登記の頼み方を伝える[6]「後の期限は誰が知らせてくれるか」

離れて買うことで解決しないこと・結論が変わる条件

ここまでの手続きで、書類の多くは海外から進められます。ただし物件そのものの判断は別で、次の場合は話が変わります。

  • 物件を見ていない。 オンラインの説明は書面にあることの説明で、内見の代わりではありません。リゾートの物件では、冬を越した後の建物の状態、取付道路、共用施設の管理は、現地か、自分で頼んだ第三者の調査で見るほうが確かです。
  • 留守の間の管理。 管理会社や管理組合からの連絡を誰が受けるか、鍵を誰が預かるか、嵐や大雪の後に誰が見に行くかを聞いておきましょう。
  • 一つの会社に頼る度合いが大きくなる。 説明・書面・報告を同じ会社が担うなら、免許と宅地建物取引士証をよく確かめましょう。確かめ方は日本の英語対応の不動産会社:買う前の確かめ方にまとめています。
  • 住む国が変わる。 国内連絡先は所有者として登記される海外居住者の話で[4]、報告は外為法の非居住者の話です[5]。二つは別の制度で、使う言葉も別です。決済の前後に日本へ移るなら、司法書士と報告を出す人の両方に聞いてください。
  • 会社で買う。 外国法人の住所の証明は個人と違います[3]。
  • 指定された区域にある。 契約にあたって届出が要ることがあります[10]。
  • 住所の証明が遅れる。 司法書士が求める住所の証明[3]がいつまでに届けば決済の日程に間に合うかを、早めに聞いておきましょう。
  • 税と融資。 この記事では扱いません。契約の前に日本の税理士に相談してください。
  • 制度がまた変わる。 報告の制度は2026年4月に変わり[9]、住所の変更登記の義務も同じ月に始まりました[6]。契約の前に国のページを確かめてください。

離れて買うときのチェックリスト

申込みの前:

  • 仲介会社の免許と、説明をする宅地建物取引士の氏名
  • 物件が特別注視区域に入っていないか[10]
  • 対面が要る手続きがあるか
  • 書面を電子で受け取るか、紙で受け取るか[2]

契約の前:

  • オンラインの説明の前に重要事項説明書が届いている[7]
  • 宅地建物取引士証が画面で読めた[7]

決済の前:

  • 司法書士が求める形の住所の証明[3]
  • 国内連絡先を決め、その人の承諾と印鑑証明書をそろえた。またはいない旨で出すと決めた[4]
  • 財務大臣への報告を誰が、いつまでに出すか[5]
  • 資金がいつまでに着けばよいか、着金を誰が確かめるか

決済の後:

  • 出した報告の控え
  • 留守の間の管理と鍵を誰が担うか
  • 住所が変わったら2年以内に変更の登記をする段取り[6]

よくある質問

日本に行かずに不動産を買えますか。 重要事項説明はオンラインで受けられ[1]、書面は承諾すれば電子で受け取れます[2]。海外に住む外国人の住所の証明は、住んでいる国で用意します[3]。すべてを離れたまま終えられるかは、売主・仲介会社・司法書士・書類によるので、最初に聞いてください。

登記の国内連絡先には誰がなれますか。 個人でも法人でもよく、法務省は不動産関連業者・司法書士等を例に挙げています。その人の承諾と印鑑証明書が要り、いないときはその旨を出せます[4]。

財務大臣への報告は誰が出しますか。 非居住者の買主本人か、不動産仲介業者などの居住者である代理人が、取得後20日以内に出します[5]。

報告の制度は2026年に変わりましたか。 はい。2026年4月1日に施行された改正で、居住用・非営利目的の業務用・事務所用に使うための不動産の取得と、他の非居住者からの取得が事後報告の対象に加わりました[9]。ご自身の購入にどう当てはまるかは、報告を出す人に確かめてください。

買った後に引っ越したらどうなりますか。 2026年4月1日から、所有者は氏名・住所が変わったら、変更日から2年以内に変更の登記を申請する必要があります[6]。

次の一歩

日本の売り物件の一覧や地域のガイドをご覧ください。セカンドハウスの地域は東京近郊のセカンドハウス:軽井沢・鎌倉・熱海と白馬の売り物件:シャレー・マンション・ロッジにまとめています。物件のお問い合わせの際に、お住まいの国と来日の予定をお知らせいただければ、その購入で各手続きを誰が担うかをご案内します。当社は、購入が成立したときに仲介手数料を受け取ります。

出典

  1. 不動産の売買取引に係る「オンラインによる重要事項説明」(IT重説)の本格運用について(国土交通省)、2021年3月30日
  2. ITを活用した重要事項説明及び書面の電子化について(国土交通省)、2026年10月28日確認
  3. 外国居住の外国人や外国法人が所有権の登記名義人となる登記の申請をする場合の住所証明情報について(法務省)、2023年12月20日
  4. 令和6年4月1日以降にする所有権に関する登記の申請について(法務省)、2024年12月20日更新
  5. 制度の概要(本邦にある不動産又はこれに関する権利の取得に関する報告)(財務省)、2026年10月28日確認
  6. 住所等変更登記の義務化について(法務省)、2025年10月30日
  7. IT重説本格運用(国土交通省)、2026年10月28日確認
  8. 不動産の売買取引に係る「オンラインによる重要事項説明」(IT重説)の本格運用について(国土交通省)、2021年3月30日
  9. 外国為替の取引等の報告に関する省令の一部を改正します(財務省)、2026年2月20日
  10. 重要土地等調査法(内閣府)、2026年10月28日確認

関連記事