大阪の不動産価格:市況の統計から読めること

大阪の不動産価格:市況の統計から読めること
ガイド

2026年9月29日時点で大阪の不動産価格の主な統計を見ると、2026年4月~6月期の中古マンションの成約価格と、今年の地価は、どちらも1年前を上回っています。大阪市の中古マンションの平均成約価格は前年同期より8.7%高く、大阪府の住宅地の地価は2026年の二つの調査でそろって上がりました。[1][2][3]一方で、直近の月の数字は弱めです。大阪市の平均成約価格は2026年7月・2026年8月とも前年同月を下回りましたが、2026年8月に新たに売りに出た住戸の平均売出価格は、前年同月より17.8%高いままでした。[4][5]

この記事では、それぞれの統計が何を測っているのか、個々の物件の価格をどう並べて見ればよいのかを説明します。先の見通しを示すものではありません。

成約・売出・新築・指数・地価:大阪の数字の見分け方

大阪の不動産市場について引かれる数字は、それぞれ測っているものが違い、取り違えやすいものです。数字を読む前に、まず次のどれに当たるかを確かめてください。

統計何を測っているか出典と頻度
中古の成約価格地域の不動産流通機構に報告された、中古住宅の売買契約の価格近畿レインズ(月次・四半期)
新規登録(売出)価格中古住宅が新たに売りに出されたときの価格近畿レインズ(月次)
新築の発売価格分譲会社が新築マンションの住戸を売り出したときの価格不動産経済研究所(月次・半期)
不動産価格指数(住宅)の大阪府の系列取引価格を物件の品質の違いで調整した指数(2010年平均=100)国土交通省(月次)
地価選んだ地点の土地の1㎡あたりの価格国土交通省の地価公示(1月1日時点)と大阪府の地価調査(7月1日時点)、それぞれ年1回

売出価格は売主の希望、成約価格は買主が実際に払うと決めた額、発売価格は分譲会社が新築の住戸に付けた値段です。地価には建物が入っていません。同じ月に、これらが別々の方向へ動くこともあります。

中古マンション:実際に成約した価格

近畿レインズ(公益社団法人 近畿圏不動産流通機構)は、関西の不動産会社が物件情報をやりとりする仕組みを運営する団体です。報告された成約を平均した数字を公表していますが、物件の違いによる調整はしていません。[6]

2026年4月~6月期。 大阪市で成約の報告があった中古マンションは1,356件で、前年同期より9.2%減りました。平均成約価格は4,523万円で8.7%の上昇、平均の専有面積は60.86㎡、築年数は約26年です。1㎡あたりでは平均74.30万円で、6.0%上がりました。[1]大阪市の平均成約価格が前年同期を上回ったのは、2015年10~12月期から数えて43四半期連続です。[7]

大阪市の外では、大阪府北部(豊中・吹田・茨木・高槻など、大阪市を除く淀川以北の市町)の平均成約価格が3,447万円で、9.6%上がりました。こちらは専有面積の平均が75.05㎡と広めで、築年数は約30年です。[8]同じ四半期、大阪市の中古戸建住宅は逆の動きでした。成約は281件、平均成約価格は3,590万円で、6.2%下がっています。[9]

2026年7月と2026年8月。 この記事の公開前に出た直近2か月の数字は、様子が違います。2026年7月の大阪市の中古マンションの平均成約価格は4,241万円で、2025年7月より5.8%低くなりました。2026年8月の成約は382件で、前年同月より8.6%少なく、成約件数が前年同月を下回るのは7か月連続です。同じ月の平均成約価格は4,263万円で6.2%下がり、1㎡あたりの平均は70.84万円で7.1%下がりました。[4]

市全体の平均には、あらゆる価格帯が入っています。中心部の区の高めの物件を見ているなら、次に挙げる区のグループ別の数字のほうが参考になります。

大阪市の平均は、成約した物件の顔ぶれで動く

近畿レインズは大阪市を二つに分けた数字も出しています。中心6区(中央区・北区・西区・福島区・天王寺区・浪速区)と、ほかの18区です。[10]

中古マンション成約件数(2025年8月)成約件数(2026年8月)平均成約価格(2026年8月)前年同月比
中心6区227件156件6,225万円0.8%下落
ほかの18区191件226件2,908万円16.8%上昇

中心6区の平均はほとんど動かず、ほかの18区の平均は上がりました。それでも市全体の平均は下がっています。理由は成約の内訳です。市全体の成約に占める中心6区の割合は、2025年8月には約54%(418件のうち227件)でしたが、2026年8月には約41%(382件のうち156件)に下がりました。[11]価格の高い区の成約が減ったことで、市全体の平均が引き下げられたのです。

逆向きにも同じことが起きます。これらの平均は品質の違いを調整していないので、2026年4月~6月期のような上昇の一部も、たまたまどんな住戸が成約したかを映している可能性があります。[6]大阪の不動産価格の数字を見るときは、平均は「何が売れたか」で動くと覚えておくと役に立ちます。比べるなら、同じ区や区のグループ、近い広さと築年数の物件どうしで、1か月ではなく数か月分を見てください。

売出価格と成約価格

2026年8月に大阪市で新たに売りに出た(新規登録された)中古マンションは1,985件で、前年同月より15.8%増えました。平均の売出価格は5,602万円で、17.8%の上昇です。[5]同じ月の平均成約価格は4,263万円で、6.2%下がっていました。[4]二つの平均は逆の方向に動いたことになります。しかも、対象の住戸の顔ぶれも違います。新規登録では中心6区が約54%(1,985件のうち1,080件)を占めましたが、成約では約41%でした。[5][11]ですから、二つの平均の差は、個々の住戸で見込める値引きの幅ではありません。

近畿レインズは2026年4月~6月期の季報で、近畿圏全体の中古マンションについて「成約価格の上昇が緩やかな一方、売り出し価格の上昇が顕著」で、「買取再販物件などの増加から強気の値付けが続いており、両者の乖離は拡大している」と書いています。[12]売出価格を見たら、ほかの売り出し中の物件だけでなく、同じ地域の似た住戸が最近いくらで成約したかを、仲介会社に聞いてみてください。

新築マンション:発売価格

不動産経済研究所は、新たに発売された新築マンションの戸数と価格を集計しています。これは分譲会社が付けた価格で、成約価格ではありません。住戸も新築なので、中古の数字とそのまま比べることはできません。

2026年1~6月に大阪市部で発売された新築マンションは2,773戸で、前年同期より15.5%増えました。平均価格は4,813万円で2.9%下がり、1㎡あたりの平均は115.9万円で0.2%上がっています。発売された月のうちに契約が決まった住戸の割合(初月契約率)は79.2%でした。この集計には投資用の物件も含まれ、定期借地権付きの住戸は別に集計されています。[13]平均価格が下がったのに1㎡あたりの価格が上がったのは、発売された住戸の平均専有面積が小さくなったためです。平均は41.5㎡で、前年同期の42.8㎡を下回りました。[14]平均価格に加えて、1㎡あたりの価格と面積も見ておきたい理由がここにもあります。

新築の月ごとの数字は、戸数が少ないため大きく振れます。2026年8月に大阪市部で発売されたのは182戸だけで、平均価格は5,210万円(18.4%上昇)、1㎡あたり114.0万円(20.5%上昇)でした。同じ月の近畿圏全体の発売は517戸で、毎年の同じ月と比べると1993年以来の少なさです。[15]この規模だと、月の平均は、その月にどの物件が発売されたかに大きく左右されます。

不動産価格指数:国土交通省の品質調整済みの指数

国土交通省の不動産価格指数(住宅)は、立地や築年数といった物件の違いを統計の手法(ヘドニック法)で調整しているので、上で見た「顔ぶれ」の影響を受けにくい指数です。主にアンケート調査で集めた国の取引価格情報をもとにしていて、マンション(区分所有)の系列は主に中古が対象です。[16]

2026年9月29日までに公表された最新の値は、2025年12月分です。季節調整値(毎年決まって起きる季節の動きを除いた値)で、2010年平均を100とすると、マンションの指数は大阪府が233.1、京阪神圏(京都・大阪・兵庫)が224.2、全国が225.1でした。[17]指数が高いことは、その地域で2010年から大きく上がったことを示すもので、価格の水準が高いという意味ではありません。季節調整をしていない原系列では、大阪府のマンションの指数は2025年12月に2024年12月より約13%高くなりました。ただしこれは1か月の値で、2025年1月から2025年11月までの前年同月比は約5%から10%の間でした。[18]いずれも速報値で、初回の公表後3か月間は改訂されます。[17]

この指数は今の状況を映していません。国土交通省は2026年9月28日、2026年9月30日に予定していた2026年6月分・第2四半期分の公表を、算出に使うプログラムの不具合を確認するため延期すると知らせました。2026年1月分から2026年5月分までの公表も延期されていて、新しい公表日は決まっていません。[19]公表が再開するまでは、この指数から分かるのは2026年ではなく2025年の動きです。

地価:2026年の地価公示と地価調査

土地の価格は、毎年二つの公的な調査で、選んだ地点について調べられています。国土交通省(土地鑑定委員会)の地価公示は1月1日時点、都道府県知事が行う地価調査は7月1日時点の価格です。国土交通省は、両者が調べる時期と地点で互いに補い合う関係にあるとしています。[20]

  • 2026年1月1日時点(地価公示): 大阪府の住宅地の平均変動率は+2.8%(前年は+2.3%)、大阪市の住宅地は+6.5%でした。[2]
  • 2026年7月1日時点(地価調査、2026年9月16日公表): 府の住宅地の平均変動率は+3.0%(前年は+2.7%)。大阪市は+6.7%(前年は+6.1%)、北大阪地域は+4.1%、東部大阪地域は+1.8%、南大阪地域は+1.2%でした。[3]府の住宅地は、どちらの調査でも5年連続の上昇です。[2][3]

上がり方には差があります。住宅地の上昇率が高かったのは天王寺区(10.7%)、中央区(9.6%)、福島区(9.3%)です。反対に、前年と比べられる住宅地の継続地点479地点のうち52地点(10.9%)は下落しました。市町村別で下落率が最も大きかったのは岬町(-2.2%)で、府は、交通の便に劣る地域の一部で下落が続いているとしています。[21]

地価が示すのは土地の値段で、マンションの住戸の値段ではありません。住戸の価格には、建物の築年数や広さ、管理の状態、何階にあるかも反映されます。

統計の限界

  • 集計の範囲。 近畿レインズが数えるのは、近畿レインズに登録された物件だけです。会員との媒介契約による物件のほか、会員が売主または代理となる物件が入ります。近畿レインズは、2025年1月以降のシステム改修が成約件数に影響している可能性があると注記しています。[6]この記事で比べた2025年と2026年は、どちらも改修後の数字です。それより前の年の成約件数とは、そのまま比べられない可能性があります。
  • 平均であること。 中古と新築の数字は平均で、成約した物件や発売された物件の顔ぶれで動きます。価格指数は品質の違いを調整しており、地価の調査は同じ地点を年ごとに比べています。
  • 時期。 価格指数は数か月遅れで出るうえ、いまは公表が止まっています。地価は年1回、決まった日の価格です。月次の数字は1か月分しか映していません。
  • 通貨。 収入や資金が円以外の通貨なら、円相場の動きで、同じ円の価格が持つ意味が変わります。向きは有利にも不利にもなります。ここで挙げた統計は、どれもこの点を考えに入れていません。

この読み方が当てはまらなくなるとき

この記事の読み方は、2026年9月29日時点で、2026年4月~6月期の中古マンションの成約価格と地価は1年前より高く、直近2か月の成約価格は1年前より低い、というものです。次のような場合は、読み方が変わりえます。

  • この先の四半期が前年同期を下回った場合。 市全体だけでなく、区のグループごとにも下回っているかを見てください。
  • 中心部の区で探している場合。 2026年8月の中心6区の平均は前年同月より0.8%低く、ほかの18区の平均の2倍を超えていました。[10]市全体ではなく、その地域の数字を使ってください。
  • 新築、戸建て、一棟の建物を買う場合。 新築マンションなら発売価格が目安です。近畿レインズは中古戸建住宅の成約価格も出しています。土地が価値の大きな部分を占める買い物なら、マンションの平均よりも地価の調査のほうが参考になります。
  • 国土交通省が価格指数の公表を再開したとき。 2026年の値が出れば、品質を調整した指数が上の平均と同じ方向を示すかどうかが分かります。
  • この先の報告で売出価格と成約価格の差がさらに開いた場合。 乖離が広がっているという指摘は近畿圏全体についてのものです。自分が見ている地域の似た住戸の成約価格と照らし合わせてください。

実際の物件で数字を使う

統計が示すのは平均で、物件は一つひとつ違います。当社サイトで大阪の物件を見つけたら、その価格を市全体の平均ではなく、物件がある区のグループの数字と並べてみてください。あわせて、近くの似た住戸が最近いくらで成約したか、それぞれの数字の出典は何かを仲介会社に尋ねると、価格の位置がつかみやすくなります。区の名前だけでは街の様子が浮かばないときは、大阪府のガイドで地域や駅から確かめられます。

出典

  1. 季刊 市況トレンド 2026年4~6月期、近畿レインズ(2026年7月23日)
  2. 令和8年地価公示の結果について、大阪府(2026年3月18日)
  3. 令和8年大阪府基準地価格調査(地価調査)の結果について、大阪府(2026年9月16日)
  4. マンスリーレポート ダイジェスト 2026年8月度(2026年9月号)、近畿レインズ(2026年9月11日)。7月の数字はマンスリーレポート No.165 集計表、近畿レインズ(2026年9月)の中古マンション・成約状況(大阪市)
  5. マンスリーレポート No.165 集計表(2026年8月度)、近畿レインズ(2026年9月)、中古マンション・新規登録状況(大阪市・大阪市内中心6区)
  6. 季刊 市況トレンド 2026年4~6月期(集計方法の注記)、近畿レインズ(2026年7月23日)
  7. 季刊 市況トレンド 2026年4~6月期、近畿レインズ(2026年7月23日)
  8. 季刊 市況トレンド 2026年4~6月期、近畿レインズ(2026年7月23日)
  9. 季刊 市況トレンド 2026年4~6月期(中古戸建住宅)、近畿レインズ(2026年7月23日)
  10. マンスリーレポート No.165 集計表(2026年8月度)、近畿レインズ(2026年9月)、中古マンション・成約状況(大阪市内中心6区・大阪市内18区)
  11. マンスリーレポート No.165 集計表(2026年8月度)、近畿レインズ(2026年9月)の件数から計算
  12. 季刊 市況トレンド 2026年4~6月期(需給の見通しについての記述)、近畿レインズ(2026年7月23日)
  13. 近畿圏 新築分譲マンション市場動向 2026年上半期(1~6月)、不動産経済研究所(2026年7月21日)
  14. 近畿圏 新築分譲マンション市場動向 2026年上半期(1~6月)地域別の表、不動産経済研究所(2026年7月21日)
  15. 近畿圏 新築分譲マンション市場動向 2026年8月、不動産経済研究所(2026年9月17日)
  16. 不動産価格指数(住宅)の作成方法、国土交通省(2020年8月)
  17. 不動産価格指数(令和7年12月・令和7年第4四半期分)を公表、国土交通省(2026年3月31日)と報道発表資料
  18. 不動産価格指数(住宅)データ(令和7年12月分まで)、国土交通省(2026年3月31日)、大阪府・原系列
  19. 「不動産価格指数」の公表延期について、国土交通省(2026年9月28日)
  20. 令和8年都道府県地価調査の概要、国土交通省(2026年9月15日)、令和8年大阪府基準地価格調査(地価調査)の結果について(制度の概要)、大阪府(2026年9月16日)
  21. 令和8年大阪府基準地価格調査(地価調査)の結果について、大阪府(2026年9月16日)

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