東京のマンションの㎡単価:公表データの読み方

東京のマンションの㎡単価:公表データの読み方
ガイド

東京のマンションの㎡単価は、公表データではいくらになっているのでしょうか。2026年9月24日時点で最新の数字は2026年8月分で、東京23区(東京都区部)で成約した中古マンションの平均の成約㎡単価は約133万円、成約は1,265件でした。前年同月比は−0.3%で、公表元の東日本レインズは「ほぼ横ばい」としています。[1]

この数字で物件の売出価格や東京の不動産市場全体を判断する前に、3つのことを確かめてください。成約・売出・新築のどの価格か。平均か指数か。何件の取引の平均か。

この記事では、主な公表データの読み方を説明します。扱うのは過去の数字だけで、先の価格の予想はしません。

4つの統計は、それぞれ別のものを測っている

この記事で扱う統計は4つです。測っているものも、公表の時期も違います。

統計公表元何の価格かどの月の値か2026年9月24日までに公表された最新の月
中古マンションの成約東日本不動産流通機構(東日本レインズ。国土交通大臣指定の公益財団法人)レインズに報告された成約の価格成約の報告があった月2026年8月
中古マンションの新規登録東日本レインズ新たに売りに出された物件の売出価格登録された月2026年8月
新築分譲マンション不動産経済研究所(民間の調査会社)発売された新築の住戸に売主が付けた価格発売された月2026年8月
不動産価格指数(住宅)国土交通省品質を調整した取引価格の指数(円の価格ではない)取引の月2025年12月

レインズは、会員の不動産会社が売り物件を登録し、成約を報告する仕組みです。マンションの集計は「中古」として登録された物件だけが対象で、レインズを通らない売買は数字に入りません。[2][3] 毎月の数字は、翌月の10日ごろに公表されます。[4] 不動産経済研究所は、その月に発売された新築の住戸を、売主が付けた価格で集計しています。成約価格ではありません。月の数字は、翌月の中旬から下旬に公表されます。[5]

これらの数字は、互いに置き換えられません。差の大きさも一定ではありません。2026年7月に23区で発売された新築の㎡単価は平均約364万円で、同じ月に23区で成約した中古の平均約136万円の約2.7倍でした。2026年8月は新築が約212万円、中古が約133万円で、約1.6倍です。[6][7][8][1][9] どちらの数字も間違いではありません。違う物件を、違う場所で、違う決め方の価格で測っているだけです。片方をもう片方で割っても、新築が同じような中古よりどれだけ高いかは分かりません。

売出価格と成約価格は、違う向きに動くことがある

レインズの月例速報は、新規登録について23区の合計を出していません。そこでこの節では、東京都全体(23区と多摩地区。多摩地区は都区部と島嶼部を除いた地域)の数字を使います。[10][11] 2026年8月に東京都で新規登録された中古マンションの平均㎡単価(売出価格)は約164万円で、前年同月比+14.7%でした。同じ月に成約した物件の平均は約119万円で、前年同月比−0.8%です。2025年8月と比べた件数は、新規登録が9,418件(+21.8%)、成約が1,562件(−18.7%)、月末の在庫が28,082件(+21.3%)でした。[10]

2025年8月と2026年8月を比べると、売出の平均は上がり、成約の平均は少し下がりました。ただ、売出と成約の平均は別々の物件の集まりから出ているので、その差を値引きの幅としては読めません。売り出し中の物件の価格を比べるなら、成約の平均より、同じ地域・同じ月の新規登録の平均のほうが性質の近い相手です。[12]

平均は、その月に売れた物件の顔ぶれで動く

レインズの成約㎡単価は、その月に成約の報告があった物件の平均です。物件どうしの違いは調整していません。[2] 古い物件のように㎡単価が低くなりやすい物件がその月に多く成約すれば、同じような物件の値段が下がっていなくても、平均は下がることがあります。

都心3区(千代田区・中央区・港区)の数字を見ると、平均がどれだけ動くかが分かります。この地域の平均の成約㎡単価は、2026年8月までの13か月のうち、2026年5月の平均がもっとも低くなっていました。[13]

都心3区平均 成約㎡単価前年同月比平均 築年数成約件数
2026年5月220万円−8.5%25.7年198件
2026年6月223万円−4.0%21.8年223件
2026年7月239万円+0.9%20.7年228件
2026年8月247万円+4.1%22.9年154件

2026年5月に成約した物件は、その後の月より平均の築年数が古く、平均の㎡単価も低くなっていました。ただし、差のうちどれだけが築年数によるものかは、この数字からは分かりません。広さ、階数、3区の中での場所も月ごとに変わりますし、2026年8月は2026年7月より築年数も単価も高くなっています。[14] 1か月の動きは、値打ちが変わった証拠ではなく、顔ぶれが変わっただけかもしれないと考えてください。

指数は顔ぶれの違いを調整するが、示すのは変化で、価格ではない

国土交通省の不動産価格指数(住宅)は、作り方が違います。登記の異動の情報から取引を見つけ、取引の当事者へのアンケートで集めた取引価格を使います。立地・築年数・広さなどの違いは、ヘドニック法という統計の手法で調整します。対象は民間どうしの取引で、2010年平均を100とします。所有権の移転登記をもとにしているので、マンション(区分所有)の指数は主に中古が対象です。数字は通常、対象の月から約3か月後に公表され、最初の公表から3か月の間は改訂されます。中心になるのは季節調整値で、原系列も公表されています。[15] 国交省は、住宅の取引は年度末の2月・3月に活発になり、その後落ち着く傾向があるとしています。[16]

2026年9月24日時点で見られた東京都全体のマンション(区分所有)の最新の数字は、2025年12月分の速報値でした。季節調整値で234.8、前月比+0.8%です。[17] 品質を調整した価格が、2010年平均の約2.3倍の水準にあるという意味です。[18] 指数からは、円での㎡単価は分かりません。また、示しているのは過去の変化で、予想ではありません。

この指数は、公表が遅れてもいました。国交省は2026年8月27日、その月の末に予定していた2026年5月分の公表を、指数を計算するプログラムの不具合のため延期すると告知しました。2026年4月以降に予定していた2026年1〜4月分も延期中で、新しい公表日は決まっていません。[19] このため2026年9月24日の時点では、この指数で2026年の価格の動きを確かめることはできませんでした。

平均か中央値か:高額な住戸が平均を押し上げるとき

不動産経済研究所は、新築の住戸価格の中央値も公表しています。中央値は、すべての住戸を価格の順に並べたときに真ん中に来る値です。研究所は中央値を、非常に広く高額な住戸や、非常に狭く低額な住戸の影響を平均より受けにくい指標としています。2026年上半期に23区で発売された新築の戸当たり価格は、平均が約1億4,250万円、中央値が約1億2,150万円で、差は約2,100万円でした。都心で超高額の住戸が発売された2023年上半期には、この差が約4,570万円まで広がっています。[20] これは戸当たりの価格で、㎡単価ではありません。平均が中央値を大きく上回っているときは、平均を目安にする前に、どんな高額の住戸が集計に入っているかを確かめるとよいでしょう。

東京のマンション価格の推移を月ごとに読む

1か月だけの数字は、上がっていても下がっていても、それだけでは多くを語りません。下の表は、レインズのサマリーレポートに載っている、23区の中古マンションの成約㎡単価の全月(2025年8月〜2026年8月)です。[21][22]

月平均 成約㎡単価前月比前年同月比
2025年8月133万円+0.7%+18.9%
2025年9月132万円−1.2%+14.6%
2025年10月135万円+2.7%+17.3%
2025年11月131万円−3.0%+11.2%
2025年12月136万円+3.6%+15.1%
2026年1月138万円+1.4%+11.3%
2026年2月133万円−3.0%+12.9%
2026年3月136万円+2.0%+11.8%
2026年4月137万円+1.0%+10.1%
2026年5月131万円−4.5%+2.0%
2026年6月131万円−0.1%+1.5%
2026年7月136万円+3.5%+2.7%
2026年8月133万円−2.3%−0.3%

月ごとの平均は、約131万円から約138万円の間にとどまっています。前月比は、表の13か月のあいだに9回、上げと下げが入れ替わりました。前年同月比は、2026年5月に2桁から1桁台の前半まで縮んでいます。レインズは、2026年8月の前年同月比のマイナスを2020年4月以来76か月ぶりとしています。[22] なお、前年同月比は1年前の同じ月と比べた値なので、1年前のその月が高かったか低かったかにも左右されます。2025年の2桁の上昇にも、2026年8月の小さなマイナスにも、同じ注意が要ります。

新築の平均は、この2か月でさらに大きく動きました。どの物件を売主が発売したかで変わるためです。2026年7月の23区の新築の㎡単価は、前年同月比+73.7%でした。研究所によると、首都圏(1都3県:東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県)では戸当たりの平均価格と㎡単価(約237万円、+50.8%)がどちらも最高値でした。研究所は、平均価格の最高値を23区内の大規模物件の発売開始によるものとしています。[6] 2026年8月は同じ首都圏で1,140戸が発売され、㎡単価は約144万円、前年同月比−9.1%でした。[8] これらは、別々の月に発売された別々の住戸の平均です。同じ物件の値打ちの変化を測ったものではありません。

その数字の裏に、何件の取引があるか

2026年8月に都心3区で成約の報告があった中古マンションは154件でした。前年同月比−38.9%で、表に出ている13か月でもっとも少ない件数です。この地域の月の成約件数は、154〜298件の間で動いています。[14][13] つまり、この月の+4.1%は、この期間でもっとも少ない件数から出た数字です。件数が少ないと、高い物件と安い物件の割合が少し変わるだけで、平均が目に見えて動きます。国交省も自らの指数で同じ点に気を配っていて、サンプル数が少ない値は参考値として示しています。[23]

件数そのものにも注意が要ります。レインズは、成約の登録を適正にするため2025年1月からシステムを改修しており、それが成約件数に影響している可能性があると注記しています。23区の成約件数は2025年8月に前年同月比+59.3%でしたが、これは改修後の月と改修前の月の比較です。2026年8月の−20.6%は、どちらも改修後の月どうしの比較です。影響の大きさは示されていません。[24]

比べる前に、地域と月をそろえる

  • 地域。 「東京」が指す範囲は、23区のことも、多摩地区を含む東京都全体のことも、レインズと不動産経済研究所が主な数字に使う首都圏(1都3県)のこともあります。たとえば2026年8月のレインズの平均の成約㎡単価は、首都圏で約82万円、23区で約133万円でした。[11]
  • 月。 2026年9月24日の時点で、レインズと新築の最新は2026年8月分でしたが、国交省の指数の最新は2025年12月分でした。[4][5][19] それぞれの「最新」を並べると、違う月どうしを比べることになります。
  • 改訂。 国交省の最初の数字は速報値で、3か月の間は改訂されます。[15] 数字を控えるときは、公表日も一緒に書き留めておいてください。

統計だけでは足りないとき

  • 国交省の延期分が公表されたとき。 2026年分の品質を調整した指数は、作り方が違うため、レインズの平均とは違う動きを示すかもしれません。ひとつの統計に頼らず、公表されたら確かめてください。
  • 特定の住戸の値段を考えるとき。 平均も指数も、個々の住戸の値段を決めるものではありません。国交省の指数は、マンションについて、広さ、部屋の階数、最寄り駅からの距離、築年数、改修済みかどうか、南向きかどうかなどを、価格に影響する特性として扱っています。これらは住戸ごとに違います。[25]
  • 円以外の通貨で考えるとき。 ここで扱った統計は、すべて円建てです。資金を別の通貨で持つ買い手から見て価格がどう動いたかは、どの統計からも分かりません。

東京の価格の数字に向ける5つの問い

  • 成約価格か、売出価格か、新築の価格か。
  • どの地域の数字か。23区か、東京都全体か、首都圏(1都3県)か。
  • どの月の数字で、いつ公表されたか。
  • 平均か、中央値か、指数か。
  • 何件の成約、何戸の住戸から出た数字か。前月比か、前年同月比か。

数字を示した人がこれに答えられないときは、出典を尋ねてください。掲載物件のページに出ている価格は、売主が付けた売出価格です。比べる相手としては、最初の表の1行目(成約)より、2行目(新規登録)が近くなります。東京についてのそのほかの情報は、東京のガイドにまとめています。

出典

  1. 東日本不動産流通機構「月例速報 Market Watch サマリーレポート2026年8月度」2026年9月10日公表
  2. 東日本不動産流通機構「月例速報 Market Watch 2026年8月度」(データ。集計の対象についての注記)2026年9月10日公表
  3. 東日本不動産流通機構「月例速報 Market Watch サマリーレポート2026年8月度」(表紙と9ページ「レインズについて」)2026年9月10日公表
  4. 東日本不動産流通機構「月例速報 Market Watch サマリーレポート」2026年6月度(2026年7月10日公表)、2026年7月度(2026年8月10日公表)、2026年8月度(2026年9月10日公表)
  5. 不動産経済研究所「首都圏 新築分譲マンション市場動向」2026年7月(2026年8月20日公表)、2026年8月(2026年9月17日公表)
  6. 不動産経済研究所「首都圏 新築分譲マンション市場動向2026年7月」2026年8月20日公表
  7. 東日本不動産流通機構「月例速報 Market Watch サマリーレポート2026年7月度」2026年8月10日公表
  8. 不動産経済研究所「首都圏 新築分譲マンション市場動向2026年8月」2026年9月17日公表
  9. 上の注の原典の値からの計算です(363.8 ÷ 135.77、212.2 ÷ 132.69。単位は万円/㎡)。
  10. 東日本不動産流通機構「月例速報 Market Watch 2026年8月度」(データ。東京都の成約・新規登録・在庫の状況)2026年9月10日公表
  11. 東日本不動産流通機構「月例速報 Market Watch サマリーレポート2026年8月度」およびデータ、2026年9月10日公表、不動産経済研究所「首都圏 新築分譲マンション市場動向2026年7月」(調査対象地域)
  12. 前の注のレインズの数字をもとにした、私たちの読み方です。
  13. 東日本不動産流通機構「月例速報 Market Watch 2026年8月度」(データ。都心3区の13か月の成約状況)2026年9月10日公表
  14. 東日本不動産流通機構「月例速報 Market Watch 2026年8月度」(データ。都心3区の成約状況)2026年9月10日公表
  15. 国土交通省「Methodology of Japan Residential Property Price Index」(作成方法の英語版)、同 日本語版「不動産価格指数(住宅)の作成方法」(主に中古マンションが対象との注記)、国土交通省「不動産価格指数(令和7年12月・令和7年第4四半期分)を公表」2026年3月31日公表
  16. 国土交通省「Methodology of Japan Residential Property Price Index」(作成方法の英語版。推計モデルの節)
  17. 国土交通省「不動産価格指数(令和7年12月・令和7年第4四半期分)を公表」2026年3月31日公表
  18. 前の注の指数の値からの計算です(234.8 ÷ 100)。
  19. 国土交通省「不動産価格指数」のページ(2026年8月27日のお知らせ「『不動産価格指数』の公表延期について」。2026年9月10日の保存版)
  20. 不動産経済研究所「首都圏マンション 戸当たり価格と専有面積の中央値の推移2026年上半期」2026年8月13日公表
  21. 東日本不動産流通機構「月例速報 Market Watch サマリーレポート2026年8月度」(東京都区部の成約㎡単価の推移)2026年9月10日公表
  22. 東日本不動産流通機構「月例速報 Market Watch サマリーレポート2026年8月度」(首都圏エリア別 中古マンション市場の成約動向)2026年9月10日公表
  23. 国土交通省「不動産価格指数(令和7年12月・令和7年第4四半期分)を公表」(サンプル数が少ない値についての注記)2026年3月31日公表
  24. 東日本不動産流通機構「月例速報 Market Watch 2026年8月度」(データ。システム改修についての注記)2026年9月10日公表、同 サマリーレポート2026年8月度(東京都区部の成約件数)
  25. 国土交通省「不動産価格指数(住宅)の作成方法」(採用する説明変数の表)

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