沖縄の不動産を買う:マンション価格の統計と、那覇・海沿いの家で確かめること

沖縄の不動産を買う:マンション価格の統計と、那覇・海沿いの家で確かめること
ガイド

2026年9月10日時点で公表されていた資料では、西日本レインズの集計(直近2四半期の後方移動平均)で2026年4〜6月期に沖縄県で成約した中古マンションの平均価格が3,667万円(91件)、中古戸建住宅が4,109万円(48件)で、どちらも那覇と海沿いを分けない県全体の平均です。土地では、2026年の地価公示で那覇市の住宅地の平均価格が1㎡あたり21.6万円、県の住宅地の変動率は前年から続けて調べている地点の平均で+6.4%となり、前年の+7.3%から上昇幅が縮みました。那覇のマンションでも海沿いの家でも、価格のほかに、海からの距離による塩害、高潮と津波、台風の時期に留守を誰が預かるかを、申し込みの前に確かめる必要があります。

沖縄で家を買うといくらか:成約価格・地価・マンション価格の統計

中古の成約価格。 西日本不動産流通機構(西日本レインズ)は、レインズに登録された成約の記録をまとめています。2026年4〜6月期の数字は成約件数も含めて直近2四半期の後方移動平均で、対象は専有面積350㎡未満のマンションと、土地面積50㎡以上500㎡未満の戸建住宅です。沖縄県の中古マンションは成約91件、平均成約㎡単価53.2万円、平均成約価格3,667万円(前年同期比+2.5%)、平均専有面積68.9㎡、平均築年数19.9年でした。[1]中古戸建住宅は成約48件、平均成約価格4,109万円(前年同期比−0.5%)、平均土地面積198.1㎡、平均建物面積114.2㎡、平均築年数22.7年です。[2]県全体でも1期の中古の成約は数十件の規模で、報告書も、成約件数の少ない四半期があることから沖縄県のマンションのグラフを載せていません。

土地の価格(地価公示)。 地価公示は、国土交通省が毎年1月1日時点の標準地の価格を公表する調査です。2026年の地価公示では、沖縄県の住宅地の対前年平均変動率が+6.4%(前年+7.3%)、商業地が+7.3%で、全国の住宅地は+2.1%でした。[3]変動率は、前年から継続している地点だけで計算しています。那覇市の住宅地は、平均価格が1㎡あたり21.6万円、変動率が+5.3%です。[4]

同じ年の地価公示で沖縄県を受け持つ鑑定評価員の代表幹事は、全21市町村で上昇し、県全体で住宅需要の強さが引き続き見られるものの、県平均の上昇幅はやや縮み、一部の地域では地価の頭打ち感が見られ始めていると分析しています。主な要因として挙げているのは三つで、木造建売住宅の普及(ただし、供給過剰感と販売価格の高止まりから、売れ行きに陰りが見られる)、那覇市の住宅需要の周辺への波及、そして一部の離島や本島中南部・北部の海岸エリアなどリゾート色の強い地域での、県内外からの移住や別荘の需要です。[5]地価公示の県内の住宅地の標準地で最も価格が高いのは那覇市おもろまち3丁目の地点で、1㎡あたり45.2万円です。同じ分析は、ここでは県外の個人投資家による投資用マンションの需要が堅調な一方、売れ行きにやや鈍さも見られ出しているとしています。[6]

もう一つの土地の統計(都道府県地価調査)。 都道府県地価調査は、都道府県が毎年7月1日時点で行う同じ種類の調査です。国土交通省の結果の概要によると、2025年に住宅地の変動率が最も高かった都道府県は沖縄県(+5.7%)で、県の住宅地の平均価格は1㎡あたり7.49万円でした。[7]次の表には、この記事で取り上げる那覇と、沖縄県のエリアガイドで紹介している海沿いと離島の市町村を並べました。[8]

市町村住宅地の平均価格(円/㎡)地点数
那覇市244,10018
北谷町145,8005
石垣市39,7006
恩納村38,2005
宮古島市22,50011

地価調査と地価公示は調べる地点が同じではなく、基準日も違うため、平均価格どうしをそのまま比べられません。地点が数か所しかない市町村の平均価格は、海の見える場所や個々の物件の相場を表すものではありません。

新築と築10年のマンション。 民間の調査会社の東京カンテイは、マンションの価格を70㎡に換算して比べています。2024年の沖縄県の新築マンションは5,241万円で、県民の推計平均年収に対する年収倍率は12.66倍(全国平均10.38倍)、築10年の中古マンションは4,633万円で11.19倍(全国平均7.55倍)でした。[9]これは換算した価格で、個々の物件の実際の成約価格ではありません。

那覇の街なかのマンション

ゆいレールの沿線。 沖縄都市モノレール(ゆいレール)は那覇空港駅からてだこ浦西駅までの19駅、営業キロ17kmで、全線の所要時間は片道約37分です。2003年8月10日に那覇空港〜首里で開業し、2019年10月1日に首里〜てだこ浦西が開業しました。[10]駅から離れた物件なら、ふだんの移動手段と駐車場もあわせて確かめてください。

那覇新都心(おもろまち)。 この一帯はもとは米軍の牧港住宅地区で、1987年に全面返還された後、土地区画整理事業で新しい市街地に整えられました。換地処分の公告は2005年1月です。[11]先に挙げた、地価公示で県内の住宅地の標準地として最も価格の高い地点も、おもろまちにあります。[6]

人口。 2025年の国勢調査の速報値で、沖縄県の人口は1,468,220人と、2020年から0.1%増えました。那覇市は311,073人で2.1%減り、減少数は県内で最も大きくなっています。一方、同じ期間に那覇市の世帯数は4.8%増えました。[12]

海沿いの家:建物に残る塩分

居住世帯のある住宅は九割以上が非木造。 2023年の住宅・土地統計調査で、沖縄県の居住世帯のある住宅のうち、非木造は96.5%(全国46.0%)、鉄骨・鉄筋コンクリート造は93.8%です。ただ、同じ調査で沖縄県の木造の住宅は、調査を始めた1973年以降で初めて増えました。[13]海沿いの家を買うときは、構造がコンクリートか木造かも確かめてください。

塩分。 国土技術政策総合研究所の2009年の資料は、当時の道路橋の基準(道路橋示方書)の塩害の地域区分を引いています。それによると沖縄県は全域が地域区分Aで、海岸線から100mまでは対策区分S、100mを超えて300mまでは対策区分Ⅰにあたります。[14]これは橋の基準で(その後改定されています)、住宅の決まりではありません。沖縄総合事務局と沖縄県が監修した鋼橋の防食マニュアルも、沖縄は台風の常襲地域で海塩粒子の飛来量が多く、鋼材の腐食が促進される地域だとしています。[15]建築研究所が沖縄北部の塩害環境に置いた鉄筋コンクリートの構造物と試験体では、14年後の調査で、表面を処置していない部分の鉄筋が腐食し、コンクリートのはく離・はく落が起きていましたが、表面を処置した部分には劣化が見られませんでした。試験の結果で、市場に出ている住宅の状態を表すものではありませんが、表面の処置や維持管理の状態は確かめる価値があることがわかります。[16]

海沿いの物件を見るときは、次の点を仲介会社に頼んで確かめてもらえます。

  • 海岸線からの距離と、海に面した外壁のひび割れ・さび汁の跡・コンクリートのはく落
  • 手すり・窓枠・鉄の扉などの金属部分と、エアコンの室外機のさび
  • 外壁の塗装と防水の工事の記録、次に予定している修繕
  • マンションなら、長期修繕計画に塩害に関わる修繕が入っているか
  • 建物の耐震設計と、これまでの点検の記録

立地の条件:浸水の想定と航空機の騒音

津波と浸水。 沖縄県は2015年3月に県内の津波浸水想定を設定・公表しています。最大クラスの津波が悪条件のもとで起きた場合を想定したもので、想定の範囲の外でも浸水することがあります。住所ごとに浸水の想定を見るには国土地理院の「重ねるハザードマップ」が使え、那覇市も水害(洪水・内水・高潮)のハザードマップを公開しています。[17]

基地周辺の騒音の区域。 沖縄県の資料では、米軍施設・区域(専用施設と一時使用施設を含む)は県土面積の8.2%、沖縄本島の14.6%を占めています(2025年1月1日現在)。[18]嘉手納飛行場と普天間飛行場の周辺には、防衛省が指定する航空機騒音の第一種区域があり、沖縄防衛局が区域の参考図を公開しています。[19]本島中部の物件なら、区域に入るかどうかを沖縄防衛局に確かめてください。

那覇の気候と台風

那覇の平年値(1991〜2020年の30年平均)は、年平均気温23.3℃、年平均相対湿度73%、年降水量2161.0mmです。[20]

気象庁の平年値(1991〜2020年の平均)では、沖縄地方への台風の接近数は年7.7個、北海道・本州・四国・九州のいずれかの気象官署に接近した台風は年5.8個です(同じ台風は1回だけ数えます)。「接近」は台風の中心が気象官署から300km以内に入ることを指し、沖縄地方には宮古・八重山・大東島も含まれます。[21]2023年の台風6号では、沖縄電力の管内の最大停電戸数が215,800戸(8月2日10時)でした。[22]

台風の時期、家を誰に任せるか

那覇市は台風への備えとして、割れたガラスが飛び散らないよう窓ガラスをテープで補強する、鉢植えやプランターなど風で飛ばされるものを家の中に移す、ベランダの排水口を掃除する、断水したときの生活用水として浴槽に水を張る、などを呼びかけています。[23]持ち主が海外に住んでいるなら、こうした作業を誰が引き受けるかを先に決めておく必要があります。

マンションならではの問題もあります。那覇市上下水道局によると、台風のときの集合住宅の断水は、停電などでポンプが止まることが原因の大部分を占め、電気が戻ってもポンプの電源が切れたままになることがあります。建物の給水設備については、管理会社や所有者に連絡するよう案内しています。[24]

購入の前に聞いておける点は、次のとおりです。

  • マンション:台風の前後に管理会社が共用部分の何を点検するか、停電の後にポンプを誰が動かし直すか、緊急のときに海外にいる持ち主へどう連絡するか
  • 戸建てや海沿いの家:台風の前に誰が窓を閉め、ベランダや庭の物を片付けるか。台風の後に誰が家に入り、雨漏りや傷みを見るか
  • 長く空ける期間に、誰が定期的に家に入って換気し、設備を点検するか
  • 地元の管理会社に管理を任せるなら、その費用と業務の範囲(書面で説明を受けてください)

台湾との行き来

沖縄県が2026年に公表した入域観光客数の概況には、那覇と台北・台中・高雄を結ぶ路線の新規就航・運航再開・増便のほか、石垣―台北の路線と、季節運航の下地島(宮古島市)―台北・台中の路線が記されています。[25]2025年に台湾から沖縄県を訪れた観光客は112万2,000人(クルーズ船の乗客を含む)で、外国人の中で最も多くなっています。[26]便は季節や航空会社の計画で変わるので、内見や管理の段取りを組むときは、その時点の航空会社の時刻表で確かめてください。

選び方が変わる三つの条件

  • 自分で住むのか、年に数回しか来られないのか。 年に数回しか来られないなら、海沿いの戸建てには台風の前後にベランダ・庭・外壁を見てくれる人が要ります。買う前に頼める人を探し、費用を聞いておいてください。
  • 海にどこまで近いか、浸水の想定や騒音の区域に入るか。 同じ海沿いでも、海岸線からの距離や地形が違えば、必要な修繕も違ってくることがあります。仲介会社には、同じ地域で似た物件の近年の成約の記録と、売り出しから成約までにかかったおおよその期間を聞いてみてください。
  • 比べている数字はどの種類か。 地価公示、地価調査、中古の成約価格、換算したマンション価格は、対象も基準日もそれぞれ違います。2026年4〜6月期は、県内の中古マンションの成約価格が前年同期比+2.5%、中古戸建住宅は−0.5%でした。[1][2]

台風の時期の管理の契約、海沿いの物件の保険で風災や水災が補償されるか、送金・税金・賃貸に出せるかどうかは、物件とご自身の立場によって答えが変わります。購入を申し込む前に、日本の仲介会社や、保険・税務などの専門家に確かめてください。長く持つつもりなら、那覇市は人口が減る一方で世帯数が増え、県全体の人口はほぼ横ばいという公表の数字も参考になります。[12]お住まいの国の通貨で考えるなら、円の為替の動きも、買うときの金額と売ったときに受け取る額に影響します。

次に調べること

気になる地域が海からどのくらい離れているか、浸水の想定の範囲に入るかを重ねるハザードマップで調べたうえで、いま掲載している物件を探してみてください。那覇・北谷・恩納・宮古島・石垣がどんな土地かは、沖縄県の地域ガイドで先に見ておけます。

出典

  1. 西日本不動産流通機構:季刊サマリーレポート 2026年4〜6月期(2026年7月27日)
  2. 西日本不動産流通機構:季刊サマリーレポート 2026年4〜6月期(2026年7月27日)
  3. 国土交通省:令和8年地価公示 第5表 都道府県別・用途別対前年平均変動率(2026年3月17日)、同:令和8年地価公示
  4. 国土交通省:令和8年地価公示 地方圏の人口10万以上の市の住宅地の平均価格等(2026年3月17日)、同:市区町村別・用途別対前年平均変動率
  5. 国土交通省:令和8年地価公示 価格形成要因等の概要(愛知県~沖縄県、2026年3月17日)
  6. 国土交通省:令和8年地価公示 価格形成要因等の概要(愛知県~沖縄県。特徴的な地点、2026年3月17日)
  7. 国土交通省:令和7年都道府県地価調査 結果の概要(2025年9月16日)、同:都道府県別・用途別平均価格
  8. 沖縄県:市町村別・用途別平均価格及び平均変動率(2025年7月1日時点)
  9. 東京カンテイ:新築マンション価格の年収倍率(2024年、2025年12月8日)、同:中古マンション価格の年収倍率
  10. 沖縄都市モノレール:ゆいレールの概要(計画概要。2026年8月の Internet Archive の保存版)
  11. 内閣府:那覇新都心(旧牧港住宅地区)(2016年6月)
  12. 沖縄県:令和7年国勢調査 人口速報集計結果(2026年5月29日)
  13. 沖縄県:令和5年住宅・土地統計調査 沖縄県結果の要点(2025年3月31日)
  14. 国土技術政策総合研究所:国総研資料 第488号(道路橋示方書の塩害の地域区分、2009年)、国土交通省:道路橋示方書の改定について(2025年8月22日)
  15. 沖縄総合事務局・沖縄県(監修):沖縄地区鋼橋防食マニュアル(2019年3月)
  16. 建築研究所:塩害環境に30年暴露した鉄筋コンクリート造構造物等の耐久性調査(2022年11月)
  17. 沖縄県:沖縄県津波浸水想定の設定について、国土交通省・国土地理院:ハザードマップポータルサイト(重ねるハザードマップ)、那覇市:水害(洪水・内水・高潮)ハザードマップ
  18. 沖縄県知事公室基地対策課:沖縄の米軍及び自衛隊基地(統計資料集)(2026年4月)
  19. 沖縄防衛局:住宅防音工事(第一種区域。2024年11月の Internet Archive の保存版)
  20. 気象庁:那覇 平年値(年・月ごとの値)
  21. 気象庁:台風の平年値
  22. 沖縄気象台:顕著気象現象速報 令和5年台風第6号について(2023年8月)、電力広域的運営推進機関:第473回理事会 議案1 資料(2024年8月29日)
  23. 那覇市:台風
  24. 那覇市上下水道局:台風時における断水の原因と対策
  25. 沖縄県観光政策課:入域観光客数概況(令和8年2月 確定値、2026年5月25日)、同:令和8年4月 確定値(2026年7月27日)、同:令和7年度 確定値(2026年6月25日)
  26. 沖縄県観光政策課:入域観光客統計 月報 第3表 国籍別入域観光客数(令和7年12月 確定値、2026年3月25日)

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