東京で一戸建てを買う:マンションとどこが違うか

東京で一戸建てを買う:マンションとどこが違うか
ガイド

東京で家を買うとき、一戸建てとマンションのどちらがよいかは一概には言えません。違うのは、何を持つかと、誰が管理するかです。一戸建ては通常、建物とその土地を一緒に買い(土地を借りる物件もあります)、修繕は自分で手配します。マンションの住戸では、自分の住戸に加えて、ほかの所有者と共同で持つ共用部分と土地の権利を持ち、所有者全員でつくる管理組合が管理します。日本にいないことが多く、共用部分の修繕を管理組合に任せたい人はマンションのほうが段取りをつけやすく、自分の土地や広い室内を求める人は一戸建ても候補になります。一戸建てなら、接している道路、建て替えができるか、土地が借地でないかを先に確かめてください(2026年8月25日時点の情報です)。

一戸建てマンションの住戸
持つもの建物と土地(土地を借りる「借地」の物件もある)自分の住戸と、ほかの所有者と共同で持つ共用部分・土地の権利
管理と修繕所有者が自分で計画し、手配する共用部分は管理組合が手配し、室内は所有者が自分で対応する
定期的な支出通常は管理組合の管理費はなく、修繕の費用は自分で用意する通常は毎月、管理費と修繕積立金(共用部分の将来の修繕に備えて積み立てるお金)を納める。金額は改定されることがある
買う前に特に見ること接している道路、建て替えができるか、借地かどうか、建てた年代と建物の状態管理組合の運営、長期修繕計画、修繕積立金の積み立ての状況

一戸建てとマンション:言葉の意味と面積の数え方

この記事でいう「マンション」は、一棟の建物を多くの住戸に分け、住戸ごとに売買できる集合住宅(分譲マンション)です。「一戸建て」は一棟で一戸の建物です。東京の一戸建ての多くは木造なので(次の節)、物件を見るときは構造と建てた年代も合わせて見てください。

台湾の方へ。 台湾の実価登録の作業手冊では、「公寓」はエレベーターのない区分所有建物、「華廈」はエレベーターのある10階建て以下の区分所有建物、「住宅大樓」はエレベーターのある11階建て以上の住宅用の区分所有建物(売買の案件での型態名は「大樓」)、「透天厝」は建物全体で一つの門牌の建物です。[1]日本のマンションは、エレベーターの有無と階数によって、公寓・華廈・住宅大樓のどれにも当たりえます。一戸建ては、透天厝と同じく建物を丸ごと持つ形です。

面積の数え方も違います。マンションの「専有面積」はその住戸だけの面積で、廊下やエレベーターホールなどの共用部分を含みません。[2]台湾の内政部が定める既存住宅の売買の定型化契約の記載事項では、登記済みの物件は登記の面積が基準で、売買の範囲には共有部分の持分(いわゆる公設)が含まれます。[3]日本のマンションの専有面積は、台湾の権状の坪数とそのまま比べられません。

東京に一戸建てはどれくらいあるか

総務省の「令和5年住宅・土地統計調査」(2023年10月1日時点)によると、東京都の居住世帯のある住宅のうち、一戸建ては1,900,500戸で26.3%、共同住宅は5,180,700戸で71.6%でした。共同住宅の割合は、都道府県の中で東京都が最も高くなっています。[4]

同じ調査の数字では、東京都の一戸建ての約87%が木造です。東京都区部(23区)に限ると、一戸建ては住宅の約21%です。[5]東京の住宅は集合住宅が中心で、一戸建ての多くは木造の家です。これらは賃貸用も含めた今ある住宅の内訳で、売りに出ている物件の割合とは違います。

持つもの:土地は自分のものか

マンションの住戸。 建物の区分所有等に関する法律(区分所有法)では、区分所有権の対象となる建物の部分を「専有部分」といいます。廊下や階段などの共用部分は、原則として区分所有者全員の共有です。区分所有者は全員で、建物とその敷地・附属施設の管理を行うための団体を構成し、この団体が一般に「管理組合」と呼ばれています。また、敷地利用権が数人で持つ権利である場合、区分所有者は、規約に別段の定めがあるときを除いて、専有部分とその敷地利用権を分離して処分できません。この敷地利用権は、土地の所有権の共有持分とは限らず、借地権のこともあります。[2]国土交通省のマンション標準管理規約(管理規約のひな型で、実際の規約は建物ごとに違うことがあります)も、管理費と修繕積立金を区分所有者が管理組合に納める費用として定めています。東京都はもっと端的に、マンションを所有するということは管理組合の一員になるということだ、と説明しています。[2]

一戸建て。 一戸建てを買うときは、通常、建物とその土地を買います。ただし日本には「借地権」の物件もあります。借地権は、建物の所有を目的とする地上権または土地の賃借権です。[6]国土交通省の解説では、借地権には普通借地権や定期借地権などの種類があり、存続期間や更新の扱いがそれぞれ違います。借地借家法が施行された1992年8月1日より前に設定された借地権には、その後に更新していても、旧法の規定が一部適用されます。[6]同じ一戸建てでも、土地を所有しているか借りているかで、持ち方も将来の扱いも変わります。広告にある権利の書き方、地代、契約の内容は仲介会社に確かめ、必要に応じて専門家にも相談してください。

管理と修繕:誰が段取りをするか

一戸建ては所有者が自分で手配します。 住宅金融支援機構(独立行政法人)は、木造の一戸建ての維持管理の目安をまとめています。たとえば窯業系サイディングの外壁は15〜20年くらいで全面的な補修を、化粧スレート葺きの屋根は15〜30年くらいで全面的な葺き替えを、給湯器は10年くらいで取り替えを検討する、という目安です。同機構は、これらは大体の目安で、工法・仕様・地域の気候によって変わるとも注意しています。[7]一戸建てには通常、修繕費をまとめて積み立てる管理組合がありません。いつ直すか、いくら用意するかは自分で計画します。

マンションは管理組合が計画に沿って進めます。 国土交通省の長期修繕計画作成ガイドラインは、計画期間を30年以上で、かつ大規模修繕工事が2回含まれる期間以上とし、5年程度ごとに見直すことを前提にしています。[8]所有者が毎月納める修繕積立金は、こうした共用部分の修繕に備えて積み立てるお金です。計画があり、進める主体がいることは利点です。その一方で、共用部分の修繕は管理組合の計画に沿って進むもので、一人の所有者が自分で段取りを決めるものではありません。ガイドラインが示すのはあるべき姿なので、建物ごとに計画があるか、資金が足りているかは一件ずつ確かめる必要があります。室内の修繕は所有者が自分で受け持ちます。

中古を買うときの建物状況調査。 日本には「建物状況調査」(インスペクション)があります。国の登録を受けた機関の講習を修了した建築士(既存住宅状況調査技術者)が、構造耐力上主要な部分と雨水の浸入を防止する部分を、目視や計測などで調べるものです。国土交通省の手引きは、調査の結果は全ての瑕疵がないことを約束するものではなく、調査できない箇所は省略されることもあると注意しています。[9]中古の一戸建てを買うときは、その家で調査をしたことがあるか、手配できるかを仲介会社に尋ねてみてください。

一戸建てとマンションの成約価格・面積・件数

東日本不動産流通機構(レインズ)が2026年8月10日に公表した2026年7月のデータでは、レインズに報告された東京都の中古一戸建てと中古マンションの成約は次のとおりです。東京のすべての取引ではありません。件数のほかは平均値で、表は同機構の資料をもとに作りました。[10][11]

2026年7月の成約区部・一戸建て区部・マンション多摩地区・一戸建て多摩地区・マンション
成約件数274件1,509件208件354件
平均成約価格7,494万円7,757万円4,338万円3,795万円
土地面積82.49m²—142.79m²—
建物面積/専有面積95.55m²56.18m²103.66m²64.93m²
築年数25.15年25.76年23.80年28.57年

表の一戸建ての建物面積は建物全体の面積で、マンションの専有面積はその住戸だけの面積です。数え方が違ううえ、一戸建てとマンションでは成約した場所の分布も違うので、同じ地域どうしを比べた数字としては読めません。この月に成約した区部の一戸建ての土地面積は平均82.49m²ですが、平均値からは面積のばらつきは分かりません。いずれも単月の平均です。区部の一戸建ては毎月の件数が多くなく、少数の高額な成約にも左右されやすいので、個々の物件の相場を表すものではありません。

年間で見ると、2025年にレインズに報告された東京都区部の中古の成約件数は、一戸建てが3,999件、マンションが21,912件で、マンションは一戸建ての約5.5倍でした。[12]件数が多ければ比べられる成約例も多くなりますが、どのマンションも売りやすいという意味ではありません。レインズは、2025年1月以降のシステム改修が成約件数に影響している可能性があると注記しています。2025年の件数や倍率を前の年と比べるときは注意が要ります。[12]

一戸建ての値段は建物と土地を分けて見る

建物の評価。 国土交通省は2014年の指針で、中古の一戸建てについて、当時は住宅の状態にかかわらず、一律に築後20〜25年程度で住宅の市場価値がゼロとされる取り扱いが一般的だったと指摘しています。指針は、この評価の仕方を改めるためのものです。[13]一戸建ての価格を見るときは、土地と建物がそれぞれどのくらいを占めるか、建物の状態が価格に反映されているかを仲介会社に説明してもらうとよいでしょう。

土地が接している道路。 新宿区の案内によると、建築基準法の道路に接していない敷地には、原則として建物を建てられません。土地の売買では、その敷地が接している道の道路種別を調べることが重要だとしています。[14]港区を例にとると、道路種別は「指定道路図」で確認できます。ただし港区は、指定道路図は道路の正確な幅員や境界を示すものではないと注意しています。敷地の接道を判断する資料や、不動産取引のための資料としても使えないとしています。[14]検討している土地がどの場合に当たるか、将来建て替えられるかは、仲介会社に所管の行政機関で調べてもらい、結果を書面で説明してもらってください。

防災:建物と地域の両方を見る

建てた年代。 日本では1981年6月1日に建築基準法の耐震基準が見直されました。それより前に使われていた基準を「旧耐震基準」といいます。[15]在来軸組構法の木造住宅については、2000年に接合部の仕様と壁の配置方法が明確化されました。国土交通省は、2016年の熊本地震で、新耐震基準の在来軸組構法の木造住宅のうち2000年以前に建てられたものにも倒壊などの被害が見られた、と説明しています。[15]東京の一戸建ての多くは木造です。中古の一戸建てを見るときは、建築確認の書類と日付、工事の時期、耐震診断や耐震補強をしたことがあるかを尋ねてください。旧耐震基準の時期に建てられたマンションでも、耐震診断をしたかを尋ねられます。どの基準が当てはまるか、今の耐震性能がどうかは、建築士などの専門家にそれぞれ確かめてください。

地域の危険度。 東京都の「地震に関する地域危険度測定調査」(第9回、2022年9月公表)は、市街化区域のある5,192の町丁目を対象に、建物倒壊危険度・火災危険度・総合危険度などを5段階の相対評価で示しています。報告書は危険度の高い町丁目を分析し、建物の棟数密度が高いことと、1980年以前に建てられた木造建物の比率が高いことが、建物倒壊の危険度が高くなる要因と考えられるとしています。木造の建物が密集する地域では、火災の延焼が広がりやすいとも書いています。[16]また東京都は、約7,100ヘクタールの地域を「木造住宅密集地域」として抽出しています(2025年)。[17]物件を探すときは、物件のある町丁目が地域危険度でどのランクか、木造住宅密集地域に入っているかを先に調べておけます。

浸水と液状化。 国土交通省の「ハザードマップポータルサイト」では、住所から洪水・土砂災害・高潮・津波などのリスクを調べられます。[18]東京都は「東京の液状化予測図」(令和7年度改訂版、2026年3月29日公開)も公開しています。250m四方のメッシュごとに液状化の可能性を相対的に示したもので、特定の地震を想定した予測ではありません。個々の土地を直接判定するものでもありません。東京都は、土地や建物の取引で液状化の判定が必要な場合は、別に詳しい調査をするよう求めています。[18]

南関東の地震。 地震調査研究推進本部の長期評価では、相模トラフ沿いのプレートの沈み込みに伴うM7程度の地震(南関東)が30年以内に起きる確率は70%程度です(算定基準日は2026年1月1日)。評価の対象領域のどこかで起きる確率で、検討している土地での確率ではありません。[19]一戸建てを選んでもマンションを選んでも、建物の耐震性の確認と家庭での防災の備えは欠かせません。

どちらを選ぶか:暮らし方と持ち方から考える

  • 日本に住むことが少なく、海外にいる期間が長い:マンションの共用部分には管理組合という共同の仕組みがすでにあるので、管理を任せやすい形です。ただし室内の設備や漏水、管理費と修繕積立金の支払い、管理組合の総会の通知には、代わりに対応する人が要ります。一戸建ては、留守の間も外壁・屋根・庭・設備を見る人が必要です。誰に任せるかを先に考えておいてください。
  • 自分の土地や広い室内がほしい、建て替えや修繕の時期を自分で計画したい:一戸建てが向いています。ただ、工事の内容は法令や借地契約の制限を受けることがあるので、先に建築士などの専門家に確かめてください。道路・建て替え・借地かどうか・建てた年代の条件に合う物件も、思ったより限られることがあります。
  • 将来売るときの比較材料を重く見る:マンションは成約件数が多いので、同じ建物や条件の近い成約例があるかを仲介会社に確かめてもらえます。一戸建ては土地の条件(接している道路、建て替えができるか、借地かどうか)が一件ごとに違うので、成約例も一件ずつ見比べることになります。
  • 気に入ったマンションの管理に問題があるとき:たとえば長期修繕計画が何年も見直されていない、修繕積立金の積み立てが明らかに足りない、といった場合は、考え直す理由にもなります。

仲介会社・行政機関・専門家に確かめること

一戸建て

  • 土地の権利:所有権か借地権か。借地権なら、その種類・期間・地代・更新の条件
  • 接している道路:建築基準法上のどの種類の道路か、将来建て替えられるか(仲介会社に所管の行政機関で調べてもらい、書面で説明を受ける)
  • 土地の境界が確定しているか、隣の土地との間に越境しているものがないか
  • 建築確認の書類と日付、完成時の検査に合格しているかとそれを示す書類、耐震診断・耐震補強の記録
  • 建物状況調査(インスペクション)の結果と、これまでの修繕の記録(外壁・屋根・給排水管)
  • 物件のある場所の、ハザードマップ・液状化予測図・地域危険度での結果
  • 日本にいない間、誰が見回りと手入れをするか

マンション

  • 管理規約、長期修繕計画(最後に見直した時期)、ここ数年の管理組合の総会の議事録
  • 修繕積立金の積み立て方式、今の積立額、今後の値上げの計画、その住戸と建物全体での滞納の有無
  • 建築確認の書類と日付、耐震診断・耐震補強の記録、大規模修繕工事の記録
  • 土地の権利が所有権か借地権か

この記事で比べているのは、一戸建てとマンションの持ち方と管理だけです。税金・ローン・ビザは扱っていませんので、それぞれ税理士・金融機関・専門家に確かめてください。

一戸建てかマンションか、方向を決めてから物件を見る

ここまでの違いを読んで、どちらかに気持ちが傾いてきたら、掲載中の物件から見始められます(東京以外の地域の物件もあります)。どの区で探すかがまだ決まっていなければ、東京都の地域ガイドで区ごとの様子をつかめます。気になる一戸建てが見つかったら、最初の問い合わせで、土地は所有権か借地権か、接している道路で建て替えができるか、の二つをまず尋ねてみてください。

出典

  1. 不動產成交案件實際資訊申報登錄及預售屋銷售資訊備查作業手冊(台湾・内政部、2023年8月。臺中市政府地政局の掲載)
  2. 建物の区分所有等に関する法律(e-Gov法令検索、2026年4月1日施行の版。第2条・第3条・第11条・第22条);マンション標準管理規約(単棟型)第25条(国土交通省、2017年8月改正の版。第25条は2024年6月改正の版でも同じ文);マンションの管理のポイント(東京都、2020年2月)
  3. 成屋買賣定型化契約應記載及不得記載事項(台湾・内政部、2025年12月19日公告)
  4. 令和5年住宅・土地統計調査 住宅及び世帯に関する基本集計 結果の概要(総務省統計局、2024年9月25日);令和5年住宅・土地統計調査 東京都の概要(住宅の建て方)(東京都総務局統計部、2025年5月15日)
  5. 令和5年住宅・土地統計調査 第7-1表(総務省統計局、e-Stat、2024年9月25日)
  6. 借地借家法(e-Gov法令検索。第2条・附則);定期借地権の解説(国土交通省)
  7. マイホーム維持管理の目安【一戸建て(木造住宅)】(住宅金融支援機構、2022年4月);入居後の住まいの保守管理(同)
  8. 長期修繕計画作成ガイドライン(国土交通省、2024年6月改定)
  9. 建物状況調査(インスペクション)活用の手引き(国土交通省、2024年4月)
  10. 月例速報 Market Watch サマリーレポート 2026年7月度(東日本不動産流通機構、2026年8月10日)
  11. 月例速報 Market Watch 2026年7月度 データ(東日本不動産流通機構、2026年8月10日)
  12. 首都圏不動産流通市場の動向(2025年)(東日本不動産流通機構、2026年1月20日)
  13. 中古戸建て住宅に係る建物評価の改善に向けた指針(国土交通省、2014年3月)
  14. 建築基準法の道路種別の確認(新宿区);建築基準法の道路種別(港区)
  15. 耐震化の流れ(東京都);新耐震基準の木造住宅の耐震性能検証法の公表について(国土交通省、2017年5月16日);熊本地震における建築物被害の原因分析を踏まえた主な取組方針(参考資料)(国土交通省)
  16. 地震に関する地域危険度測定調査報告書(第9回)(東京都都市整備局、2022年9月);同 第2章、同 第3章
  17. 防災都市づくり推進計画 基本方針(東京都、2025年3月、2026年3月一部修正)
  18. ハザードマップポータルサイト(国土交通省・国土地理院);東京の液状化予測図 令和7年度改訂版(東京都、2026年3月29日)
  19. 長期評価結果一覧(地震調査研究推進本部、2026年1月14日);相模トラフ沿いの地震活動の長期評価(第二版)(同、2014年4月)

関連記事