新築マンションと中古マンション、どちらを買う? 買う前に見られるもの・資料・価格の統計の違い

新築マンションと中古マンション、どちらを買う? 買う前に見られるもの・資料・価格の統計の違い
ガイド

新築マンションは工事の完了前に売り出されるものが多く、買う人はモデルルームや図面、完成予想図で判断することになり、管理の実績もまだありません。中古マンションは実際の住戸と管理組合の記録を見てから決められるので、実物と管理の記録で決めたいなら中古から、完成まで待てて最新の基準や設備を重く見るなら完成前の新築も候補です。価格の統計も、新築の平均は分譲会社の発売価格、中古の平均は成約価格なので、そのままでは比べられません(2026年8月18日時点の情報です)。[1][2][3][4]

「新築」と「中古」:この記事での呼び方

この記事でいう「新築マンション」は、分譲会社が新しく建てて初めて売り出す住戸です。完成前に売り出すものと、完成してから売り出すものの両方を含みます。「中古マンション」は、一度人が住んだか所有していた住戸を、もう一度売りに出すものです。

不動産公正取引協議会連合会の消費者向けの冊子によると、新築住宅や新築分譲マンションは工事の完了前に販売されるものが多く、これを「青田売り」といいます。未完成の物件では、完成予定年月が表示されます。冊子は、広告でいう「新築」を、建築後1年未満で一度も居住されたことがないものと説明しています。この定義では、完成から1年を過ぎた住戸は広告でいう「新築」に入らないので、この記事の呼び方とは範囲が少し違います。[1]

買う前に見られるもの

まず比べたいのは、実際に買う住戸を見られるかどうかです。

完成前に買う新築マンション中古マンション
住戸モデルルームと図面で見ます。モデルルームと買いたい住戸とでは間取りや広さが違うことがあり、設備は標準仕様ではなくオプションであることも多くあります[5]内見を手配すれば、買う住戸そのものを見られます[2]
日当たり・風通し・眺望まだ建っていないので、想像するほかありません。完成予想図は、周囲の状況が実際よりよく見えることもあります[2][1]窓からの眺望、風通し、日当たりを現地で確かめられます[2][6]
建物の基準と性能最新の基準に則って建てられ、新しい技術や性能を持っています。ただし、長年使われてきた「住宅としての実績」はまだありません[7]経年劣化による磨耗・損耗があり、給湯器や水周りなどの設備が交換時期に近づいていることがあります[8]
管理の様子まだ誰も住んでおらず、管理の実績もありません[3]エントランスの印象や、ゴミ置き場・駐輪場の位置を見られ、管理のトラブルの有無も尋ねられます[6]

不動産ジャパン(公益財団法人不動産流通推進センター)は、未完成の状態で購入を決める新築住宅では、日当たりや眺望、隣家の窓やバルコニーとの位置関係、前面道路の電柱や電線の見え方も想像するほかないと説明しています。中古住宅なら、実際に住む空間とその周辺を一つずつ確かめられます。[2]同じサイトは、新築住宅は最新の基準に則り、新たな技術や性能を持っているものの、唯一ないものが、長年の雨風に耐えて住まいとして使われてきた「住宅としての実績」だとも書いています。[7]

新築でも中古でも、周辺の環境は変わることがあります。たとえば、隣に大きな建物が建って、日当たりや風通しが悪くなる場合です。[1]不動産ジャパンの現地見学の説明は、時間帯や曜日を変えて周辺を見ることを勧め、雨の日には雨水が流れ込む場所や水はけの悪い場所が分かるとしています。[5]海外に住んでいて何度も現地へ行けない場合は、時間帯を変えた写真や動画を仲介会社に頼むと、その一部を補えます。

完成してから売り出す新築マンション。 すでに完成している新築マンションなら、中古と同じように、実際の住戸や窓からの眺望を見られます。[5]管理の実績がどのくらいあるかは、建物全体が使われ始めた時期と、出せる管理の記録によります。

中古マンションの弱み。 中古住宅には、経年劣化による磨耗・損耗や、個別の傷みがありえます。壁の中や床下など見えない部分も多く、売主や不動産会社が出せる情報には限界があります。中古住宅は新築住宅より低い価格設定となるケースが多いものの、一般的にはリフォーム費用が必要になります。[8]また、選べるのは、そのとき売りに出ている住戸に限られます。

いつ引き渡されるか

完成前に買う新築マンションは、建物が完成してから売主が引き渡します。[9]広告には「完成予定年月」と「引渡し可能年月」が表示されます。冊子によると、二つは一致することが多いものの、実際に入居できるのは引渡し可能年月以降です。引っ越しの時期は、この年月をもとに確かめておきましょう。[1]貸すつもりなら、貸し始められるのもこの年月より後になります。

中古マンションは、建物がすでに建っています。引渡しの時期は、売主がまだ住んでいるかどうかも含めて、仲介会社に確かめてください。

手に入る資料:完成前に見るのは「計画(案)」

日本で分譲マンションの住戸を買うと、価格のほかに、通常は毎月の管理費と修繕積立金を払います。修繕積立金は、外壁や屋根、エレベーターなど共用部分の将来の計画的な修繕のために積み立てるお金です。[10]マンションの維持・管理は、住戸を購入した区分所有者で構成される管理組合が主体となって行います。[11]新築と中古の違いは、このお金を「これからどう集めるか」「これまでどう使ってきたか」を資料で確かめられるかどうかにあります。

新築マンション:分譲会社が作った「計画(案)」を見る。 国土交通省の「長期修繕計画作成ガイドライン」によると、新築マンションでは、分譲会社がガイドラインを参考に長期修繕計画(案)を作り、それに基づいて修繕積立金(修繕積立基金を含みます)の額を設定します。作った計画(案)は、管理組合に引き渡されます。購入予定者は、示された計画(案)の内容を、ガイドラインを参考にチェックできます。[3]

同じガイドラインは、計画(案)と修繕積立金の額を、引渡し後速やかに開く管理組合設立総会で決議することがあるとしています。そのため、完成前に買う時点では、その建物の総会の記録や収支の実績はまだありません。[3]

修繕積立金の集め方を先に確かめる。 国土交通省の「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」は、一般に分譲段階では分譲会社が長期修繕計画と修繕積立金の額を購入者に示しているものの、修繕積立金の当初月額が著しく低く設定される例も見られるとしています。購入予定者は、示された修繕積立金が「均等積立方式」(はじめから同じ額を積み立てる)によるものか、「段階増額積立方式」(はじめは少なく、段階的に増やしていく)など将来の負担増を前提とするものかを確かめる必要があります。負担増を前提とするなら、自分の将来の資金計画と比べて無理がないかもよく検討しておきましょう。ガイドラインは、均等積立方式でも、長期修繕計画の見直しで増額が必要になる場合があるとしています。[10]購入時にまとまった額の修繕積立基金を集めるマンションもあります。[10]

2024年6月の改定では、段階増額積立方式の引上げの目安が加わりました。均等積立方式とした場合の月あたりの金額を基準額とし、計画の初期額は基準額の0.6倍以上、最終額は1.1倍以内とするものです。[10]この目安は、早期に引上げを完了し、均等積立方式へ誘導するためのもので、工事費の高騰などを踏まえた見直しで大幅に引き上げることを制限するものではない、とも書かれています。[10]その建物の計画(案)がこの目安と比べてどうなっているかは、仲介会社や分譲会社に説明を求めるとよいでしょう。

国土交通省の2023年度マンション総合調査(回答した管理組合が対象)では、修繕積立金の制度がある管理組合のうち、分譲当時の積立方式が段階増額積立方式だったのは、2020年以降に完成したマンションで82.3%(回答62)、1974年以前に完成したマンションで11.4%でした。[12]新築を買うときは、段階増額積立方式かどうかと、引上げの計画を確かめてください。築年数の浅い中古マンションも同じです。

中古マンション:管理組合が残した記録を見る。 国土交通省が主に中古マンションの売買のために作ったパンフレットは、仲介会社を通じて手に入れられる管理の情報として、総会の議事の内容、管理費会計・修繕積立金会計の収支、購入予定住戸の滞納の有無、管理費・修繕積立金などの支払額の変更予定、長期修繕計画の有無、修繕工事の履歴などを挙げています。一方で、マンションによっては開示される情報に限りがある場合があるとも書いています。[11]

管理の実績:中古マンションで見るところ

中古マンションは実績を見られるのが利点ですが、実績にはよいものもそうでないものもあり、調査の結果も完成した年代によって違います。

同じマンション総合調査では、管理費または修繕積立金を3か月以上滞納している住戸がある管理組合は、全体で30.1%でした。1974年以前に完成したマンションでは48.4%、2020年以降に完成したマンションでは13.2%です。[12]長期修繕計画が「ない」管理組合は、全体で7.3%、1974年以前に完成したマンションでは23.1%でした。[12]これらは全体の割合で、個々の建物は、その建物の記録を見て判断します。

中古マンションを見るときは、次の点に気をつけてください。

  • 長期修繕計画があるか、修繕が計画どおりに行われているか[6][11]
  • 外壁や共用廊下に大きなひび割れや傾きがないか、設備がどのくらい傷んでいるか[5][8]
  • 竣工年次。国土交通省のチェックシートも竣工年次を確認の項目に挙げています。耐震基準との関係は、仲介会社に説明を求めてください[11]
  • 建物の状態をもっと詳しく知りたいときは、「建物状況調査(インスペクション)」ができるかを仲介会社に尋ねます。国の登録を受けた機関の講習を修了した建築士が、構造耐力上主要な部分と雨水の浸入を防止する部分を、目視や計測などで調べるものです。調査の結果は、すべての瑕疵がないことを約束するものではありません。[13]

価格の統計の読み方:発売価格と成約価格は別のものさし

首都圏と近畿圏で公表されている統計を並べました。新築は2026年1〜6月の上半期、中古は2026年4〜6月の四半期の数字で、どちらもこの記事の時点で公表されている最新のものです。期間が違うので、表の差には期間の違いによる分も含まれます。[14][15][16][17]

地域新築マンション(2026年1〜6月、発売)中古マンション(2026年4〜6月、成約)
首都圏(1都3県)7,989戸、平均1億135万円、㎡単価151.4万円11,853件、平均5,201万円、㎡単価83.13万円、平均築年数27.70年
東京23区/東京都区部(首都圏の内数)2,684戸、平均1億4,249万円、㎡単価222.6万円4,803件、平均7,574万円、㎡単価136.22万円、平均築年数26.43年
近畿圏(2府4県)7,329戸、平均5,453万円、㎡単価98.0万円4,967件、平均3,286万円、㎡単価48.25万円、平均築年数28.75年

二つのものさしの違い。 新築の数字は民間の不動産経済研究所のもので、その期間に発売された住戸に分譲会社が付けた価格の平均です。成約価格ではありません。㎡単価は専有面積あたりです。中古の数字は東日本と近畿の不動産流通機構(レインズ)のもので、その期間に成約の報告があった物件の平均です。[4]平均価格は住戸の広さにも左右されるので(首都圏の中古マンションの平均専有面積は62.57㎡)、比べるときは㎡単価を中心に見るほうが向いています。[16]両機構とも、2025年1月以降のシステム改修が成約件数に影響している可能性があると注記しています。[16][17]

築年数でも差が開く。 東日本不動産流通機構の築年数の分析によると、2025年に首都圏で成約した中古マンションの平均築年数は26.58年で、築20年超が60.3%を占めます。成約㎡単価は、築0〜5年が143.64万円、築31〜35年が44.14万円でした。[18]築年数の違う物件は立地も違うことがあるので、この差がすべて建物の新しさによるとは限りません。

このため、新築と中古の平均の差を「同じ住戸が新築なら中古よりいくら高いか」として読むことはできません。どれも過去の平均で、これからの価格を示すものでもありません。具体的な物件を比べるときは、同じ建物か、築年数や立地の近い物件の成約事例を仲介会社に出してもらってください。

どちらが合うか:結論が変わる場合

  • 中古マンションを中心に探す: 実物と管理の記録を見てから決めたい
  • 早めに使いたい・貸したい: 新築か中古かを問わず、引渡しの時期を先に確かめてから比べる
  • 完成前の新築マンションも候補にする: 完成まで待てて、最新の基準・設備・間取りを重く見る。そのうえで、実物を見られないことと、管理の実績がまだないことを受け入れられる
  • その間: 完成してから売り出す新築マンションは実物を見られます。築年数の浅い中古マンションなら、数年分の管理の記録を見られます。管理の記録の多さは、建物全体が使われ始めてからの期間によります
  • 考え直したほうがよい場合: 中古マンションの修繕の計画や積立の状況がよくない、あるいは新築マンションの修繕積立金の引上げ計画が自分の資金計画に合わない。部屋が気に入っていても、見送る理由になりえます

これは編集部の整理で、将来の値動きや投資の成果には触れていません。

仲介会社や専門家に確かめること

  • 新築:完成予定年月と引渡し可能年月、モデルルームと買う住戸の違い(間取り・広さ・向き・オプション)
  • 新築:長期修繕計画(案)の内容、修繕積立金の集め方と引上げの計画、購入時の修繕積立基金の有無
  • 中古:総会の議事録、管理費・修繕積立金の収支と今後の変更予定、その住戸と建物全体の滞納の有無、長期修繕計画と修繕工事の履歴
  • 中古:竣工年次と耐震基準の関係、設備の使用年数、リフォームが要るかどうか、建物状況調査ができるか、引渡しの時期(売主がまだ住んでいるか)
  • 共通:周辺の将来の建設計画、時間帯を変えたときの周辺の様子
  • 契約とお金のこと:手付金、引渡しが遅れたときの扱い、契約不適合責任に関すること、住宅ローン、税金(消費税を含む)、仲介手数料やリフォームなど購入にかかる費用は、仲介会社・金融機関・税理士などにそれぞれ確かめてください。この記事では説明しません

新築と中古を同じ一覧から見比べる

新築か中古かをまだ決めていないなら、先に掲載中の物件の一覧で、築年数・地域・間取りの幅を見てみてください。気になる物件が見つかったら、上の確認項目を仲介会社に渡して、管理と修繕の資料を先にそろえてもらいましょう。

出典

  1. 住まいを選ぶ前に知っておきたい 不動産広告の読み方・見方(不動産公正取引協議会連合会)。「青田売りと主たる設備の概要」「写真・動画・完成予想図」「環境のマイナス要素」と新築分譲マンションの広告の例の項
  2. 既存(中古)住宅を購入する5つのメリット(不動産流通推進センター「不動産ジャパン」)
  3. 長期修繕計画作成ガイドライン(国土交通省、2024年6月改定)
  4. 首都圏 新築分譲マンション市場動向 2026年6月(不動産経済研究所、2026年7月21日);季報 Market Watch サマリーレポート 2026年4~6月期(東日本不動産流通機構、2026年7月17日)
  5. 現地見学時のチェックポイント(不動産流通推進センター「不動産ジャパン」)
  6. 現地見学でのチェック項目例(中古物件編)(不動産流通推進センター「不動産ジャパン」)
  7. 既存(中古)住宅を購入する5つのメリット(不動産流通推進センター「不動産ジャパン」)。ポイント4
  8. 既存(中古)住宅を購入するときの注意点(不動産流通推進センター「不動産ジャパン」)
  9. 住まいを買うときの流れ(不動産流通推進センター「不動産ジャパン」)
  10. マンションの修繕積立金に関するガイドライン(国土交通省、2024年6月改定);同 新旧対照表(国土交通省、2024年6月7日)
  11. 快適なマンションライフの始まりは…マンションの管理を知ることから!(国土交通省、2025年3月)
  12. 令和5年度マンション総合調査結果(国土交通省、2024年6月21日);同 データ編(管理組合向け調査の結果)〔管29①〕〔管31①〕〔管32①〕
  13. 既存(中古)住宅の安心取引のために~建物状況調査(インスペクション)活用の手引き(国土交通省、2024年4月)
  14. 首都圏 新築分譲マンション市場動向 2026年上半期(1~6月)(不動産経済研究所、2026年7月21日)
  15. 近畿圏 新築分譲マンション市場動向 2026年上半期(1~6月)(不動産経済研究所、2026年7月21日)
  16. 季報 Market Watch サマリーレポート 2026年4~6月期(東日本不動産流通機構、2026年7月17日)
  17. 季刊市況トレンド レポート 2026年4~6月期(近畿圏不動産流通機構、2026年7月23日)
  18. REINS TOPIC 築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2025年)(東日本不動産流通機構、2026年2月25日)

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