1億円のマンションを買う前に:取り寄せるべき書類

1億円のマンションを買う前に:取り寄せるべき書類
ガイド

日本で中古マンションの購入を申し込む前に、仲介会社に四つの書類を求めてください。管理会社が発行する重要事項調査報告書、管理規約、長期修繕計画、直近の総会議事録です。2026年10月5日時点で、この四つは、内覧や売り出し価格だけでは分からない「建物のお金がどう管理されているか」を、最初に確かめる手がかりになります。

専有部分と同じくらい、建物が大事な理由

マンションでは、自分の住戸(専有部分)を所有しながら、建物の費用を皆で分担します。区分所有者全員で管理組合をつくり、日々の管理は通常、管理会社に委託します。多くのマンションでは、所有者が毎月、建物の日常の管理に使う管理費と、それとは別に修繕積立金を支払います。修繕積立金は、共用部分の外壁、屋根、エレベーター、配管などの大規模な修繕に備えて積み立てるお金です。この積立金が足りない場合、その不足は、あとから毎月の負担額の値上げ、借入、所有者への一時金の徴収などで埋めることがあります。

これは珍しい話ではないことが、国の調査から分かります。国土交通省(以下、国交省)の2023年度マンション総合調査では、回答したマンションのうち36.6%が、実際の積立額が自分たちの長期修繕計画に比べて不足していました(小さな不足も含みます)。不足の割合が20%を超えていたのは11.7%です。[1]同じ調査で、管理費または修繕積立金の三か月以上の滞納が発生していないと答えたマンションは62.1%でした。[1]

これらは調査結果の数字であり、ひとつの建物の将来を予測するものではありません。個別の建物の状況は、以下の四つの書類で確かめます。

重要事項調査報告書

どんな書類か。 管理会社が発行する、購入を検討している住戸と建物の財務・管理の状況をまとめた報告書です。マンション管理業協会が標準様式を公表しています。[2]住戸の数字と管理組合の数字は、基準日が違うことがあります。発行日と、各項目の基準日を確かめてください。

何が分かるか。 住戸の管理費・修繕積立金の月額と、その住戸の滞納額。建物全体の滞納額と、借入金の残高。住宅宿泊事業(民泊)が認められているか、ペットの飼育に制限があるか。大規模修繕の計画と、耐震診断の有無。[2]

分からないこと。 建物の状態を調べたものではなく、内見や建物状況調査の代わりにはなりません。

誰に頼むか。 仲介会社です。発行にかかる費用は管理会社に確認してください。協会は統一した手数料を定めていません。[2]報告書が日本語であれば、主な数字は、日本語の読める人に訳してもらって確かめましょう。

管理規約(と使用細則)

どんな書類か。 建物の使い方と管理のルールを定めた文書です。住戸の使い方、騒音、ペット、リフォーム、短期の貸し出しなどが定められています。国交省はマンション標準管理規約を公表しており(2025年10月17日改正)、各マンションはこれをもとに自分たちの規約をつくります。[3]

何が分かるか。 住宅宿泊事業(民泊)について、規約に何が書かれているかです。標準管理規約には、可能とする場合と禁止する場合の二通りの条文例があるため、マンションごとに異なります。[3]リフォームの進め方も分かります。標準管理規約は、共用部分や他の住戸に影響を与えるおそれのある工事をする区分所有者に、理事長への申請と、書面または電磁的方法による承認を求めるひな形を示しています。[3]

分からないこと。 日々の暮らしの中で規則がどれだけ厳しく運用されているか。また、管理規約のほかに、短期の貸し出しに何が適用されるかも、規約からは分かりません。

誰に頼むか。 仲介会社です。リフォームや短期の貸し出しを考えている場合は、要約ではなく、該当する条文そのものを見せてもらい、あなたの計画にどう当てはまるかも尋ねましょう。

長期修繕計画

どんな書類か。 これから行う修繕の予定と概算費用、そして修繕積立金でそれをまかなう計画をまとめたものです。

確認する点。 国交省のガイドラインは、計画期間を30年以上とし、その中に大規模修繕工事を二回以上含めること、そして五年程度ごとに見直し、そのときに毎月の積立金の額も見直すことを求めています。[4]最後に見直したのはいつか、尋ねてください。見直しの目安よりずっと長く見直されていない計画は、質問を増やす理由になります。

目安の範囲。 国交省の修繕積立金のガイドラインは、専有面積(m²)あたりの毎月の積立額について、計画期間全体の平均(機械式駐車場の費用は除く)の目安を示しています。範囲は、建物の延べ床面積と階数によって変わります。20階未満で延べ床面積が5,000 m²以上10,000 m²未満の建物は170〜320円(平均252円)、20階以上の建物は240〜410円(平均338円)です。ほかの区分にはそれぞれ別の範囲があるので、対象の建物については、ガイドラインの表で確かめてください。各範囲は、調査した事例の約三分の二を含みます。[5]ガイドラインの目安は計画期間全体の平均なので、住戸の今の毎月の積立金とは直接比べられません。計画に、計画期間全体の平均(m²・月あたり)が書かれているかを確かめ、無ければ仲介会社か管理会社に計算してもらいましょう。今の月額だけで建物を判断しないでください。範囲より低い場合は、不足分を計画がどうまかなうのか、範囲より高い場合は、上乗せ分が何のためなのかを尋ねましょう。これらは目安であり、すべての建物が満たす基準ではありません。

積立金が低いときは、増額の予定を見る。 計画によっては、積立金を低く始めて、段階的に引き上げます。そうした計画について、ガイドラインは、初期額を、同じ計画を最初から最後まで均等に積み立てるとした場合の月額の0.6倍以上、最終額を1.1倍以内とする考え方を適切としています。[5]最終額の1.1倍は推奨の目安であって、超えてはならない上限ではなく、計画の見直しでさらに上がることもあります。住戸の現在の積立金が低い場合は、増額の予定表と、五年後と十年後に毎月いくらになるかを尋ねてください。

分からないこと。 修繕に、計画どおりの費用がかかるかどうか。計画は見積りであり、計画があること自体が、それが現実的であることを示すわけではありません。

直近の総会議事録

どんな書類か。 所有者が予算、修繕、規約の変更などを議決する、通常総会と臨時総会の記録です。

何が分かるか。 少なくとも直近三年分と、現在の修繕計画を承認した総会の分を読んでください。管理費や積立金の値上げの提案・決定、予定された、または先送りされた大規模修繕、滞納者への督促、所有者同士や管理会社との争いが分かります。

分からないこと。 総会の場の外で話されたこと、決まったことが実行されたかどうかです。

誰に頼むか。 仲介会社です。議事録が出てこない場合は、それも情報のひとつとして受け止めましょう。

申し込む前の、さらに三つの確認

建築確認の日付。 建築確認を1981年5月31日以前に受けた建物は、一般に、旧耐震基準で建てられたものとして扱われます。たとえば東京都は、この日付を、分譲マンションの耐震化支援の対象条件にしています。[6]竣工年だけでなく、建築確認の日付を尋ねてください。この日付の少しあとに竣工した建物でも、確認はそれより前に受けていた可能性があります。旧耐震基準の建物がすぐに危険というわけではなく、改修済みのものもあります。新しい基準の建物にも問題が無いとは言えません。日付は、判断材料のひとつと考えてください。

管理計画認定制度。 2022年度から、国交省の管理計画認定制度のもとで、地方公共団体がマンションの管理計画を認定しています。認定基準には、計画期間が30年以上で、残存期間内に大規模修繕工事を二回以上含む長期修繕計画、七年以内に作成または見直された計画、直前の事業年度末時点で三か月以上滞納している修繕積立金の額が全体の十分の一以内であること、最終年度に借入金残高のない計画、が含まれます。[7]認定を受けたマンションのうち、管理組合が公表に同意したものは、公開のデータベースで検索できます。[8]そこに載っていなくても、単に認定を受けていないか、掲載されていないだけのことがあります。また、よく管理されていても認定を受けていないマンションはあります。認定が無いことは、尋ねるきっかけであり、結論ではありません。

建物状況調査。 国交省は、標準的な方法で行う、既存住宅の建物状況調査(インスペクション)を案内しています。[9]実施したかどうか、いつ行ったかを尋ねてください。書類ではなく、建物の実際の状態を見る調査です。ただし、建物に瑕疵がないと判定するものではありません。

海外から書類を取り寄せるには

申し込む前に、書面で依頼し、仲介会社に四つの書類を同時に求めましょう。重要事項調査報告書は管理会社が発行するため、時間に余裕をみてください。要点は英語で説明してもらい、日本語の原本は手元に残して、第三者にも確認してもらえるようにします。

仲介会社に聞くこと

契約や法律上の取り扱い、そしてあなたの事情によって変わる点があります。この記事を頼りにせず、免許を持つ仲介会社から、書面で答えをもらってください。

  • この住戸、またはこの建物に滞納はありますか。売買のときに、どう扱われますか。
  • 管理費や積立金の値上げ、一時金、大規模修繕の予定や検討はありますか。
  • リフォームや短期の貸し出しについて、どの条文が当てはまりますか。条文そのものを見せてもらえますか。
  • 建物状況調査は行われていますか。いつですか。
  • 建物の記録に、争いや訴訟など、知っておくべきことはありますか。
  • 申し込みの前に書類が手に入らない場合、いつ見られますか。書類を読んだうえで判断する、という条件を申し込みにつけられますか。

判断を変える条件

  • 書類が出てこない、または古い。 もう一度求めるか、進めないでください。
  • 積立金が低く、計画が急な増額を示している。 増額の予定表を、段階増額の計画についてガイドラインが推奨する目安(最終額は均等積立にした場合の月額の1.1倍以内)と比べ、増額分を予算に織り込んでください。
  • 大規模修繕が近く、積立金が少なそうに見える。 負担の増加を見込んでください。価格交渉や、見送りを考える理由になります。
  • 建物全体の滞納や、借入金の残高がある。 その対応がどうなっているかを尋ねてください。
  • 管理規約が、あなたの計画を制限している。 短期の貸し出しやリフォームが計画に欠かせない場合、それを禁止する条項があれば、その考えは成り立たないかもしれません。

その逆の場合も参考になります。最新の計画、目安の範囲に沿った積立金、問題のない議事録は、よい兆しです。ただし、思わぬ事態が起きる可能性は残ります。構造、近隣の状況、過去の修繕の質は、建物状況調査、現地訪問、図面、修繕履歴から判断するほうが適しています。

現在の物件を見る

SORA は不動産の仲介会社で、収入は仲介手数料です。この点を踏まえて、この記事をお読みください。この確認リストは、どの仲介会社を使う場合にも当てはまります。書類は、第三者にも読んでもらうとよいでしょう。

SORA は、大阪、東京、神戸など主要都市のマンションを掲載しています。物件一覧をすべて見ることができます。現在の掲載物件のうち、大阪、神戸、川崎の例は、Park Tower Osaka Nakanoshima Front、Bay City Towers Kobe WEST、Gran Este Kawasaki Twin Tower です。気になる物件があれば、最初の段階で四つの書類を求めてください。

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出典

  1. 国土交通省「2023年度マンション総合調査結果」
  2. 一般社団法人マンション管理業協会「重要事項調査報告書の手引」(2025年12月改訂)
  3. 国土交通省「マンション標準管理規約(単棟型)」(2025年10月17日改正)
  4. 国土交通省「長期修繕計画作成ガイドライン」(2024年6月改定)
  5. 国土交通省「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」(2024年6月改定)
  6. 東京都「マンション耐震化」
  7. 国土交通省「マンション管理計画認定制度」および国土交通省「マンションの管理計画認定に関する事務ガイドライン」(令和8年3月改訂)
  8. マンション管理センター「管理計画認定マンションの検索」
  9. 国土交通省「既存住宅状況調査(建物状況調査)」
  10. 国土交通省「English guide for condominium owners」(2026年3月、初版。英語)

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